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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年9月12日出題)

第316問(2011年9月11日 菅井五段-井上九段戦)
(問316-1)
先手菅井五段、後手井上九段で戦型は、先手の石田流(早石田)。途中で角交換になり、お互いが角打ちを狙う細かい折衝が続いたが、自陣角から巧みに攻めをつないだ先手が有利になった。しかし、先手の飛車を金で取り、駒割りは後手の方が得をする形で下図。少し押し戻した感もあり、今△3三香に▲3五歩と手筋の中合いをしたところ。指す手の難しい局面だが、ここで後手井上九段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問316-2)
今△5八歩と垂らした所で、次に△5九歩成、△4九と、△3九馬となってもまだ詰まない。と言うことは、△5八歩は三手スキにもなっていないということだが、それより早い攻めがあるかというとまた難しい。そこで先手菅井五段の指した一手は、受けと攻め、両方に関係する手筋の一着。このような局面で時々出てくる手筋とは?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問316-1解答)「駒得を主張し、相手の攻めを遅らせる」
ここで井上九段の指した一手はじっと△6一飛と引いておく手。この局面だけを見れば、いかにも△5五馬と引くのが筋で、攻防に利かせたいと思う所だが、▲4六銀打と入れられるとかえって固くなってしまう(実戦も後にそうなってしまった)。
これは感想戦での話だが、△6一飛と引いた手を継承して△9三桂と跳ねる手が勝負手だったようで、それならまだ難しかったとのことだった。本譜は、▲3六香、▲4六銀打と固められ、下図のようになった。


(問316-2解答)「馬(角)の利きを限定する」
△6六馬の位置は、攻めては3九に利き、受けては3三や5五に利いている最も良い場所だ。そこで、▲6七歩が手筋の一着。この馬を取らせる訳には行かないので、どこかへ動かすしかないが、どこへ動かしても6六よりは利きが悪くなるという訳。

本譜は△7五馬と引き、あくまで△5九歩成から△4九とを間に合わせようとしたが、馬が守りに利かなくなったので、▲3四歩から一気に後手玉を攻略。最後は即詰みに討ち取ることに成功した。
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