将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2012年2月27日出題)

第338問(2012年2月26日 渡辺竜王-菅井五段戦)
(問338-1)
先手渡辺竜王、後手菅井五段で戦型は後手のゴキゲン中飛車対超速。最新形から後手が一歩損の代わりに馬を作るという展開になった。模様は後手の方が良さそうだったが、中盤の折衝で先手の攻めが切れなくなり、しだいに形勢は有利へと。そして下図、今▲5三金と露骨に打ち込んだところ。この飛車取りに窮したようだが、ここで放った後手菅井五段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問338-2)
後手の辛抱にも確実な手で迫った渡辺竜王。今、△3五角と攻防の一手を打たれた所で、次に△5七とが入ると先手陣も気持ち悪い。と言って、▲4七飛成とと金を取るのは、△4六金で長くなる。ここで指された決め手とも言うべき先手渡辺竜王の次の一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問338-1解答)「飛車取りと精算を見合いに」
大駒の取りには逃げるのが基本だが、ここでは△4一飛としても▲3二歩成で捕まっている。そこで△3五角と飛車取りのお返しと同時に5三へも利かせたのがこれしかない受けの反撃手。この局面だけを見れば▲3四飛と銀を取ってから▲4二金と取れば(後手から見て)銀損だが、すでに角銀交換しているのでそれほどの損ではない。
もっとも実戦は、▲2九飛と引き、5三での清算後の▲3一角が厳しく先手有利のまま進んで行った。

(問338-2解答)「と金を働かせない手段」
ここで渡辺竜王の指した▲2五飛が後手の攻めを遅らせる巧妙な一着だった。△5七とと寄りたいが、▲3五飛で角を取られてしまう。△4六角は▲4八歩があるので、勢い△5七角成と成り込むしかないが、その状態にしておくことで、と金の寄りがなくなると同時に歩が切れたので、手筋の▲5二歩を打つことが出来る。

本譜は、先手玉が固く、後手玉はと金で粘りの利かない形なので、以下数手で後手の投了となった。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ