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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年7月2日出題)

第355問(2012年7月1日 井上九段-島九段戦)
(問355-1)
先手井上九段、後手島九段で戦型は一手損角換わり。先手の棒銀に△6三銀〜△4二飛の形で受け、その後先手が矢倉に入城した後、△6二玉のまま後手が仕掛けて戦いが始まった。下図は馬を引きつけ、今3六歩と歩を垂らしたところ。次に△3七歩成▲同桂△3六歩の攻めがあり、何か受けなければならない。ここで先手井上九段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問355-2)
終盤に入り、△3五歩までは島九段の研究と言うことだったが、今▲7三歩と手筋の叩きを放ったところ。実際の指し手が正着とまでは言い切れないがここで指された後手島九段の指した一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問355-1解答)「間接的に歩成りを受ける」
いくら受けの基本と言っても、△3六歩に▲3八歩では利かされ過ぎ。仮に△3九角の筋がなかったとしても飛車の横利きが消えとても先手の勝てない形になる。但し、六枚落ちとか八枚落ちの下手ならそのように歩には歩で受けるのが基本。
ここでは、▲4六歩が普通の受け。これは△3七歩成▲同桂△3六歩に▲4五桂と跳ねられるようにした手で、その時、桂にヒモを付けているという訳。
実戦は△3七銀と打ち込んで激しい終盤戦へ突入した。

(問355-2解答)「金は引く手に好手あり」
実戦は△7一金と引き、格言通り利かされではあるが部分的には△同金▲8二角よりしっかりしているように見える。
実戦はこの後▲8五歩と桂を取った為に、△3六と〜4六とが間に合い、後手が攻めつぶすことになった。

感想戦では、仕掛け直後も検討されたが、ここでも▲8五歩と桂を取るのではなく一本▲5四歩と手筋の歩を突き出していれば難しかったらしい。△同歩は馬筋が消え5三の地点が開く。△同馬は▲4五銀、△同銀は▲7二銀などがありうるさい。
結局感想戦の最後の方では、▲7三歩には△同金と歩を取り、▲8二角△7二金▲9一角成に△3六とで僅かに後手良しの感じになった。

本譜は、飛車を成り込んだ後手が、そのまま攻め切りきれいな必死をかけて終局した。
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