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NHK杯に見る受けの手筋

(2013年9月23日出題)

第416問(2013年9月22日 鈴木大介八段-ア六段戦)
(問416-1)
先手鈴木大介八段、後手ア六段で戦型は相振り飛車。但し、鈴木八段が初手に▲9六歩と突いたことから珍しい手将棋となった。中盤、攻勢を取ったのは先手の鈴木八段。しかし手厚く受けてその攻めを凌ぐと、今度は反撃に出た。
今、△2六桂の王手から△1八桂成と気持ちよく攻め込んだところ。▲同香はもちろん△2八飛成。こうなっては敗勢なので、ここで先手の鈴木八段はどのように受けたか。先手の指した手を9手まで示せ、と言うのは大きなヒント。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問416-2)
この将棋は、お互い土俵を割らず長くなった。下図は終盤143手目。グイッと▲7五銀と出たところ。取れば▲6三角成がある。再び先手の攻めがツボに入ったようにも見えたが、ここで読みの入った受けを捻出。後手ア六段の指した次の三手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問416-1解答)「駒を投入しても飛車を成らせない」
成桂を取るのはダイレクトに飛車を成られ、単に▲2七歩と受けるのも、△2八成桂で銀を取られるとやはり飛車成りが受からない。実戦、ここは▲2三歩から連打の歩で飛車成りを止めに行った。歩が五枚あれば、当然真っ先にその手を考えるのだが、四枚しかない。しかしそれでも(最後に金を手放すことになっても)飛車成りは許せないという訳だ。
これで駒損にはなっても(▲2七の金は取られることになるので)、一旦凌ぎ、再び先手に攻めの順が回ってきた。

(問416-2解答)「芸術的な三手の受け」
▲7五の銀を取るのは、▲6三角成と成られ、その局面をひと目受からないと思ってしまうのは自然だ。だから△7五銀と取るところで別の受けを考えてしまうのだが、ここでア六段は、△7五銀と取る手から先を読んで30秒将棋の中、踏み込んだ。それが▲6三角成に△6四銀打と受ける曲芸的な受け。
確かに先手の持ち駒が少ない為、これで凌いでいたらしい。もっとも実戦は、▲7四馬から▲5二角〜▲4三角成と進み、まだまだ先の長い難しい終盤戦は続いた。

本譜はこの後、はっきり後手勝ちになったと思われたが、猛追する先手に、最後は詰まなければ負けの局面まで追い詰められることに。しかしその複雑な変化を読み切り、先手玉を詰ますことに成功した。
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