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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年1月6日出題)

第431問(2014年1月5日 三浦九段-ア六段戦)
(問431-1)
先手三浦九段、後手ア六段で戦型は相穴熊戦。但し、序盤から角道を開けたまま相手の状況を見ながらの駒組み進行。そして角道を止めてからも駒組みは続いたが、後手のア六段が機敏に仕掛け戦いが始まり、局面をリードした。
今、△3七歩成に▲3二歩と叩いたところ。ここはいろいろと考えられそうな局面だが、ア六段はうまい手順で局面のリードを保った。三手一組のその手順とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問431-2)
相手の攻めの一瞬の隙をつき、後手玉に肉薄した先手の三浦九段。終盤に入り、局面はもうどちらが勝っているか分からない状況になり、詰み、詰めろ、二手スキを冷静に見極める必要に迫られている。
今、▲7二とと金を取った手に△同飛と取り返したところ。先手玉に詰めろはすぐにかかるが、後手玉にはかからなそうに見える。そこで先手三浦九段の指した一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問431-1解答)「あまり見ない三手一組の筋」
▲3二歩に対し、△2八とと飛車を取り合ったり、△6一飛と逃げて▲3七桂には△3六歩と打ったり、あるいは△3二同飛と取り▲2三歩成には一旦飛車を逃げておく手など考えられる手段はたくさんある。しかし、ア六段の指した一手は△3二同銀。先手は飛車取りなので▲2三歩成とは出来ず、▲3七桂とと金を取る一手。そして△4三銀と戻る。この局面は、△3七歩成と成った局面から一歩を後手に渡した代わりに3七のと金を払った格好になっている。通常ならと金を払う方が得なのだが、この局面に関してはない方が後手に取って得だ。それは今度▲3二歩でも△同飛と取って▲2三歩成にはダイレクトに△3七飛成と成り込めるから。珍しい筋だが、読みの入った手順と言えるだろう。

(問431-2解答)「終盤に現れる攻防の角」
「自玉に詰めろがかかり、相手玉に詰めろがかからない」状況で勝つ為には、相手玉に二手スキをかけておいて、自玉の詰めろを受け続けるしかない。
ここで▲4五角と打ったのが、二手スキ(次に▲7二角成と飛車を取れば詰めろ(必死))であると同時に、自玉への詰めろを少しでも緩和させる一着だった。この「受けの手筋」でもこのような攻防の角は良く取り上げている。実戦でも使いたい筋だ。

本譜は難解な終盤戦が続いた。検討すれば二転三転している可能性もあるが、最後は後手の攻めを凌ぎぎった先手の三浦八段が、後手玉に詰めろからの必死をかけてこの熱戦を制した。
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