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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年4月21日出題)

第445問(2014年4月20日 金井五段-阿部光瑠四段戦)
(問445-1)
先手金井五段、後手阿部四段で戦型は横歩取り△3三角戦法。定跡形から角交換、飛車交換と大きなさばき合いが行われ、際どい利かしをお互いが入れ合う読みの勝負となった。そこを先に抜け出したのは後手の阿部四段だったように思えるが、それからしばらくした下図は、うまく先手が攻めを凌ぎきっている。とは言え、まだ龍は直射し油断の出来ない局面。ここで、先手の金井五段が指した一手は?その一手で先手玉はかなり安全になり、攻守所を変えて今度は攻めの番になった。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問445-2)
先手からの攻めが厳しく、すでに後手の大変な局面。今、龍を銀と刺し違えて△1七同龍▲同銀と進んだところ。ここで後手阿部四段の指した一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問445-1解答)「龍をさえぎる-その場所」
ここでは、駒を渡した時の△7八への打ち込みや桂成、あるいは△7七桂などを防ぐ意味で、龍の利きをさえぎるのがひと目だ。しかしその場所が問題で、たとえば▲3八歩など節約しようとすると△2九龍と入られて節約になっていない。▲3八桂と普通なら玉の回りを広くして受けたいが、ここでは△2八歩成ですぐ取られる。
結局、図のように▲4八桂と打ったのが本譜。これだと玉が狭いという欠点はあるものの、上部への利きは、3六〜4四(2四)と相手玉への間接的な攻めにもなっていて、この場合の正しい筋と言えるだろう。実戦では、受けだけを見て△2七歩がなければ▲3八桂の方が良いこともあり、常にその局面で読みを入れる必要がある。

(問445-2解答)「入玉を慌てない」
問題図では△3六歩と桂を外すのが普通に見えるが、▲1一馬とここに飛び込まれる手が角取りを見て非常に厳しい。そこで、じっと△3三銀と打って守った手がしぶとかった。ただ、駒を投入してまで自陣に手を入れるのは実際辛い手で、後手辛抱の順が続いた。

本譜は、△3三銀の局面が114手目。そしてこの後、100手以上、終局は223手にもなっている。実戦はこの後、後手が入玉に成功、しかし駒数が足りず先手も入玉を目指した。結果、先手が後手からの絡みつきを丁寧に面倒を見て、最後は先手玉も入玉に成功、駒の点数で大差になり後手の投了となった。
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