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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年8月11日出題)

第461問(2014年8月10日 渡辺二冠-佐々木勇気五段戦)
(問461-1)
先手渡辺二冠、後手佐々木五段で戦型は横歩取り△3三角戦法。双方中住まいの形から難しい中盤戦が続き、小競り合いから先手の渡辺二冠が大きく動いた。これに反撃する形で後手も先手玉に肉薄。感想戦がなかった為、形勢判断や双方がどう見ていたかは分からないが、下図はすでに終盤で、今△6四歩と突いたところ。この手の意味は何か?有段者なら当然ひと目で見抜けるだろうが、それでも実戦になると見落とすこともある。ここで指された先手の当然の一着とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問461-2)
力のこもった終盤が続いている。今、▲2七香と銀を取りながら王手をかけたところ。王手なのでこれを何とかしなければならないが結構手が広く難しい局面でもある。ここで指された後手佐々木五段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問461-1解答)「玉の早逃げ-王手龍の筋から外れる」
△6四歩は、△3七の成桂取りを一旦受けると同時に、もし▲6四同馬とでも取ろうものなら、△3六角が「目から火の出る」王手飛車になる。そこでこれを受ける訳だが、その受け方は、▲7九玉の早逃げがもっとも普通であり、当然の一着と言える。龍を動かしてもあまり得にならないし、早逃げ以外の受けもやはり得にならない。こうした受け方は、理屈よりも感覚なのかもしれない。

本譜は、この後も大熱戦の終盤戦が続いた。

(問461-2解答)「香を近づける中合い」
最終盤、後手玉が詰むかどうかになっている。但し、玉を下に落とし、△4三玉の形になれば▲6五角から△8七の成桂を抜ける形でもあるので、後手からすれば詰みを凌ぎながら出来るなら上部へ出たいところだ。
そこで佐々木五段の指した一手は△2六桂という中合い。これが歩ならまず損にはならないので当然の一着とも言えるが、桂の場合はやや微妙で、局面によっては損になることもある。しかし、▲2六同香と取らせれば、さらに△2五桂と合駒した時、▲1五銀や▲1五角に△3五玉と上がって、▲2六に駒が打てない効果があるという訳。
こうした中合いは、時々出てくるので、筋を知っておくと同時に、その局面ごとに良く読む必要がある。

本譜はこのまま▲1五銀と打ち、△3三玉〜△4三玉に結局▲6五角から▲8七角と成桂を抜く筋に入っていった。これでも先手の勝ちかと思ったが、最後は大逆転で後手が先手玉を詰ますことに成功した。

なお、この解答図461-2の局面、実際には、後手玉に詰みがあった。局後、念のためソフトにかけた所、▲1三角から15手で詰む。変化は多いが、いずれにしても▲4五角と金を王手で取るのがポイントで、中合いしてもしなくても結果的には後手玉は詰みだったようだ。ただ、中合いしないと▲1三角の他▲1五角でも詰みだが、この中合いに▲1五角は詰まず、先手が間違える可能性は高い(本譜もある意味中合いに間違えたと言える)。解答としてはどちらも後手負けなので正解とは言えないが、実戦的な意味では△2六桂の中合いが正解と言えるのかもしれない。
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