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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年5月11日出題)

第498問(2015年5月10日 村田五段-北浜八段戦)
(問498-1)
先手村田五段、後手北浜八段で戦型は後手の角交換向かい飛車。良くある形から、これも時々出てくる筋の▲5六角を放って局面が動いた。そして先手は▲5六の右銀を▲6五〜▲5四〜▲4三銀成と使い、馬を作ることに成功。対して後手は、銀損ながら△2一の桂を△5七桂成と金を取れる所まで進めた。
今▲4五馬に△4六にいた角をじっと△7三角と引いたところ。もちろん何もしないと、△6七成桂から飛車を成られてしまう。ここで先手村田五段の指した一手は?三手まで進めた局面を想定して。


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問498-2)
上図から少しずつ先手の模様が良くなっていったが、後手も巧みに手をつなぎ追走、下図はもう逆転しているかもしれないと思われるところ。今△5四龍と銀取りにしながら金を取った手に対し、その銀を▲8三銀成と切り込んだ局面。王手でしかも応手は二通りしかないが、ここではどちらで取る方が良いのか。どちらもあり得る手なので、このような時間のない時に、どのように考えたら良いかということでもある。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問498-1解答)「飛車先を止め、馬を自陣に」
歩がたくさんあるなら連打も考えるが、ここでは▲5三歩と控えて垂らすのが好手。△同飛は▲5四歩△4三飛▲4四歩とピッタリなので、△6七成桂と金を取るしかないが、それを▲同馬と取っておくのが固い。図で△5三飛と走られてはまずいが、今取った桂を▲6五に打てるので問題ないという訳だ。

本譜は、△2八金と飛車を取って後手は攻めようとしたが、先手は▲7五歩と馬の威力を攻めにも使って、先手ペースの終盤戦へ入っていった。

(問498-2解答)「終盤、迷ったら玉は上部へ」
同玉で取っても▲9一角成は残るし▲6五銀と龍に当てられながら押さえる手も見える。かと言って金で取るのは、▲6二飛に合駒を強要される。このようにどちらで取ったらよいか、迷う局面というのは多い。もちろん明らかに片方の方が良いと思えば別だが(もし間違っていたとしてもそれは棋力なので)、まったく同じ位の危なさで分からないということも良くある。そのような場面では、一つの考え方として玉は上部へ出た方が捕まりづらいということが指標になるかもしれない。ここでも深く検討すれば△同金が正解になるなんてこともあり得るだろうが、実戦的には△同玉の方が勝ちやすい(先手が間違えやすい)と言える。

本譜はその後、後手に王手龍取りがかかったが、味良く攻め駒の桂を外しはっきり後手勝ちに。最後は、大量の持ち駒を使って堅陣の先手玉を長手数の即詰みに討ち取った。
なお、この一戦の最後に詰将棋作家らしい一着を織り交ぜて詰ませたので、その筋を入れて作成した「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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