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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年6月15日出題)

第503問(2015年6月14日 稲葉七段-佐藤天彦八段戦)
(問503-1)
先手稲葉七段、後手佐藤八段で戦型は横歩取り△3三角戦法。後手は△8四に飛車を引き、玉は△5二玉型。対して先手は▲6八玉に▲4八銀▲5九金と言うちょっと変わった陣形。普段の研究を思わせる形だ。このちょっと変わった形に、いきなり後手の佐藤八段が△7五歩▲同歩に△6五桂と跳ねて戦いが始まった。軽い攻めなので、つながるかどうかはギリギリ。そのため後手の攻め、先手の受けの局面が続き、高度な攻防が繰り広げられた。そして下図、今△4四馬とじっと引いて次に△3五銀を見たところ。ここで先手稲葉七段の指した一手は?△3五銀だけを防ごうとしても局面は好転しない。盤面全体を見て、将棋の本筋でもある効率の良い手を探して欲しい。


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問503-2)
先手の辛抱が実り、局面は逆転した。今その反撃を開始し、▲3一角と打ち込んだところ。▲6二金と打ち込む手の他に、何もしなければ▲3三金と打つ手が厳しい。ここで後手佐藤八段の指した次の三手は?二つ以上の攻め筋がある為、振りほどくのは容易ではないが、攻めるのに最も難しくなると思われる凌ぎ方は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問503-1解答)「馬を消す合わせ角」
盤上に作られた馬を、持ち駒の角を打って消すことは良くある。ここでは持ち駒ではないが、生角なので交換できればなお得と言うことで、▲7七角とぶつけるのが第一感で本譜もそう進んだ。但し、実戦の局面では、交換されてさらに好所に据えられることもあるので、そうした様々なことを読んでぶつける必要はある。

実際本譜は、△同馬▲同金に△4五角と今度はこちらに据えられ、▲6六飛に△7六香から後手の猛攻が続いた。しかしその猛攻を切っ先でかわしきると今度は先手が攻め、次の第2問へと続いた。

(問503-2解答)「終盤の読み」
金を持っていれば△3二金打と打てるが銀では受けにならない。この局面は受けの筋とも言うべきものもなく難しいが、実戦△4一玉と引き、▲2二角成に△5四歩と突いた手が読みの入った一着。問題文にも書いたように、▲6二金や▲3三金の攻め筋の他、ゆっくりした手なら▲8四金など飛車を捕獲する手段までありどこをどう受けたら良いのか分かりづらい。実戦のように受けてもなお先手優勢は動かないが、攻めがもっとも難しくなり間違える可能性も高くなるという訳だ。

本譜はこの局面から▲4五桂と打ち、さらに入手した銀を▲3三銀と打って勝ちの直前まで近づいた。しかし最後の最後に落とし穴が待っていた。先手が詰まないと思い必死をかけた瞬間、後手が先手の駒を拾い、きれいな即詰みに討ち取り佐藤八段の再逆転勝ちとなった。

そのきれいな即詰みの手順で一問、さらに逆側の局面も詰むように修正して一問と計二問作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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