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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年6月29日出題)

第505問(2015年6月28日 松尾七段-井上九段戦)
(問505-1)
先手松尾七段、後手井上九段で戦型は相居飛車。但し後手の井上九段が4手目に△7四歩から袖飛車を採用した為、あまり前例のない力戦形となった。その後、先手は後手の飛車を押さえ込んでいたが、後手は△3五歩から飛車のコビンを攻め、さらに王手飛車を見据えた金打ちからの攻めで、結局後手から見て飛銀交換の駒得を果たした。そして今、その飛車を△3九飛と打ち下ろしたところ。先手から見れば飛銀交換の駒損ではあるが、銀三枚を持ち駒にし、右桂も急所に跳ね、まだまだ難しいと思えるところ。しかし次に△8九飛成と桂を取られながら金取りになっては厳しい。ここで指された先手松尾七段の指した一手は?最も筋とも言える自然な一着とは何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問505-2)
上図より先手は後手の玉頭を強襲。際どいところまで追い詰めたが、丁寧に受けられ、徐々に局面ははっきりしてきた。そして下図、今▲6五歩と桂を取り返した所だが、後手玉はまだ詰まなそうに見える。なので、△6六銀と上部を押さえればこれで後手の勝ちになりそうだが、▲7二角成から相当追われることは覚悟しなければならない。そこで、ここで指された後手井上九段の指した一手は?より安全に勝つための一着と言えばどのような手になるかということ。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問505-1解答)「(攻めに使えそうな)桂をかわす筋」
ここでは▲7七桂が第一感で実戦もそう指した。たとえば▲7四歩がないなら、▲7九歩と底歩で守るのが固い。しかし歩はどの筋にも打てないし、▲7九銀ではそうでなくても駒損しており戦力不足になりそうな所なので、相当打ちづらい。本譜▲7七桂は、たとえば▲6五銀がいなければ▲6五桂が相当な迫力になるし、実際そうなる可能性も高く、取られるのを防ぎながらなのでまさに”筋”と言える一着だ。

本譜は、この後△3三桂とぶつけて来た手に▲5三桂成から後手の玉頭に殺到した。そしてかなり際どい所まで追い込んだが、丁寧に受けられ徐々に先手の攻めが足りなそうになっていった。

(問505-2解答)「安全勝ちの手順」
「自玉が詰まないなら相手玉に必死をかけて勝ち」これは将棋の基本だ。しかし、自玉が100%詰まないということを確信するには相当の棋力が必要であるし、それが30秒将棋となればプロでも難しい。という訳で、問題図、△8二飛と一旦逃げるのが手堅い勝ち方。▲7三金の王手飛車取りはかかるが、△5三玉▲8二金の局面は、「100%詰まない」と確信の持てる局面になるという訳。

本譜はその△5三玉の局面で先手が投了したが、もし△8二飛と逃げずに△6六銀など必死をかけると先手は▲7二角成から詰めに来ることになる。実際にはそれでも後手は残しているが、たとえば二ヶ所、▲5七歩を▲5六歩に、△9五歩を△9四歩とするだけで、後手玉は詰む。という訳で、そうした「今日の実戦の詰み」を作成したので際どい詰み筋を知ってもらう為にそちらもどうぞ。
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