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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年2月8日出題)

第535問(2016年2月7日 豊島七段-村山七段戦)
(問535-1)
先手豊島七段、後手村山七段で戦型は角換わり腰掛け銀。中盤、定跡形から細かい折衝の後、先手が仕掛け、これに直ちに後手が反撃。その後手の攻めは、飛車を切る強襲でこの攻めが成立しているのかどうか難しい戦いとなった。
下図は、△6九銀の割り打ちに一旦▲3四歩△同銀を利かせたところ。依然、飛車取りは残っているので、先手はこの飛車をどうにかしなければならない。ここで指された先手豊島七段の指した一手は?飛車は逃げるしかないので難しくはないが、その後の後手からの攻めを読み、逃げ場所を考える必要がある。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問535-2)
後手の馬を一旦遠ざけると、先手も反撃を開始した。後手が飛車取りに来ている間に、▲3四歩から金銀を交換、今▲4一銀とこのような局面では良く見る、金に銀をかけたところ。ここではどのように応対したら良いか?後手村山七段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問535-1解答)「攻めの目標にならない場所へ」
ここで▲1八飛と一番遠くまで逃げたのが考えられた一着。▲5九飛は△7八銀成▲同玉の後、△4八角成が残るのですぐ除外するが、▲3八飛と角に当てて逃げるのは自然に見える。しかし、以下△7八銀成▲同玉△5七角成と成られた時、▲4七金に△5六馬▲同金△4七銀の強襲が気になる。この手の攻めは、すぐでなくても、本譜のように△6六馬▲7七銀の後でも可能な為、かなり危険。また同時に、角に当てなくても△5七角成以外の攻めがないなら、角に当ててせかす必要もないということ。

本譜は、後手の攻めを一旦遠ざけた先手が反撃、後手玉を薄くしていき、難解な終盤戦へ突入した。

(問535-2解答)「引くか埋めるか-それが問題」
矢倉を指す人なら、まず99%金に銀を掛けられているハズだ。それほど多い攻め筋ではあるが、その時の応対は常に悩ましい。つまり、引いて(かわして)受けられるなら引きたいし、それが危険なら(△3一金打と)埋めるしかない。
どちらを選択するかはその局面ごとに読みを入れるしかないが、大きな目安としては、相手の持ち駒が多い時(強力な時)は埋めて我慢するしかなく、持ち駒が少なければ引いて耐えられるということ。
但し、例外も多いし、この局面もその例外。村山七段は△3一金と引いて頑張った。横からの飛車の王手には△4二歩で、先手の攻めを少し遅らせ、反撃に出るのが読み。

本譜は、どちらが勝っているのか分からない難解な終盤戦になった。短い感想戦では、この△3一金で一旦凌ぎ、飛車の打ち場所を間違えなければ後手が勝ちそう、ただ実戦は逆転して(最終盤は)先手が勝っていると言った感じの感想となった。しかし、実戦は最後の最後に詰まない後手玉を詰めに行ってしまった為、再逆転、後手の村山七段が勝利した。
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