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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年6月20日出題)

第553問(2016年6月19日 畠山鎮七段-藤森四段戦)
(問553-1)
先手畠山七段、後手藤森四段で戦型は相穴熊(先手の居飛車穴熊、後手の四間飛車穴熊)。昔からある指し方で、ガップリ組み合い、後手が6筋に振り直し△6五歩から開戦する形だ。後手は、これも筋の△4六歩と突き捨て、△5七角を打ち、馬を作った。対して先手も▲2二角と打ち込んでいる。下図は、△4六角成の飛車取りに▲2六飛と浮いたところ。香を取ったり、△5六馬から攻め合うのも自然だが、ここでは時々出てくる手筋がある。後手藤森四段の指したその手筋とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問553-2)
中盤までは互角と思われたが、後手の働きのある馬が先手の押さえ込まれている飛車と交換になり、と金で桂香を取り切った局面は、先手に分のある形勢となった。下図はその先手有利の局面。▲2一とと桂を取った手に、△6五の銀を△5六銀と出てきたところ。次に△6七銀成が入れば、固そうな先手陣も一気に弱体化するが、ここは先手の手番。やや有利な局面を明快に優勢に持っていくための手順は何か?先手畠山七段の指した次の五手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問553-1解答)「香を取られる位置を変える」
ここで△1二香と上がっておくのが常套手筋。▲1一角成なら香は助からず▲1二馬と取られることになるが、▲1一馬より▲1二馬の方が位置が悪く、先手はこの馬を使う為にもう一手かけなければならなくなる。
このような手筋は実戦でもまれに出てくるが、気を付けなければいけないのは、局面が忙しくなっている場合は△1二香が緩手になるということ。▲1一角成以外の手があまりないようなら、△1二香は一手の価値があるし、それ以外にもっと厳しい(忙しい)手があるようなら逆に悪手(一手パス)となるので気を付けたい。

本譜は△1二香をとがめるべく、▲2四歩と突いたが(△同歩なら▲1二馬の時、一手で▲3四馬と引ける)、これを手抜いて△5六馬とし、難解な中盤の攻防が続いた。

(問553-2解答)「先手を取りながら攻めの急所へ」
ここでの次の五手は、▲6二歩△同飛▲6三歩△同飛に▲7五桂だ。△6七銀成を防ぐだけならいろいろ手はあるが、終盤では攻防手を考えたい。しかもここでは飛車取りの先手を取りながら、▲7五桂という絶好打があった。穴熊の急所は△8三の地点で、▲7五桂を決め、▲8六香と足せば、穴熊陣は一気に攻略できる。

本譜は、飛車を逃げるだけでは勝機がないので、△6七飛成と踏み込んだが、これを取り、攻防の▲4五角から▲8六香を据えると、最後は▲8三桂不成から後手玉に必死をかけ、先手の畠山七段の勝利となった。

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