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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年5月8日出題)

第597問(2017年5月7日 加藤女王-近藤誠也五段戦)
(問597-1)
先手加藤女王、後手近藤五段で戦形は角換わり。最新の駒組みで進んだが、最終的にはどちらも腰掛け銀になり、戦端は▲4五桂から始まった。その先手の攻めに対し、後手も△6五桂から△8八歩と反撃、一気に激しい戦いへと突入した。
そして下図、今△8九歩成と成ったと金を△8八とと引いたところ。先手からの攻め筋としては、▲4四歩と突き、△同歩なら▲4三歩から▲5五桂だが、後手の攻めはそれより早い。そこでどうするか?ここで指された先手加藤女王の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問597-2)
感想戦で、「△5四金が発見できて良いかな」と話していたように二手前の△5四金は非常に厳しい。馬を守る事実上の受けはなく、▲7二銀と飛車に当て返したのが下図。ここで後手はどの手順で馬を取るのが良いか?取った後のことを考えると手順は一つしかない。問題として出されればやさしいが、実戦では見落とすこともあるので良く読みを入れて取りたい。後手近藤五段の指した次の三手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問597-1解答)「金駒はかわして受ける」
逃げられないなら仕方ないが、多くの場合、玉の側の金や銀をタダで取られてはいけない。特にと金に玉方面へ寄られながら取られるのは一番まずい。そこで▲7七金と形は悪いが上にかわすのが手筋。△8七とは見えているが、▲8二歩で飛車先は止まるし、▲7六金と桂を取る手もある。

それでも先手の方がやや苦しそうだ。△8七と▲8二歩に△6八桂成と捨て△7七とと王手で金を入手、▲同銀に△6一飛で後手の攻勢のまま第2問へ続いている。

(問597-2解答)「取り合った後、抜かれないよう注意する」
△6四飛▲同銀△同金で二枚換えと思って飛びつくと▲6一飛と打たれて金を取り返されてしまう。同じ二枚換えでも△6四金と金で取るのが正解。▲4一銀不成には△6五金と銀を取っておいて▲4一に銀がある為、両取りがかけらないという訳だ。細かいちょっとしたミスでもあっという間に逆転するのが終盤の見落としなので注意したい。

本譜はこの後、先手も後手玉に肉薄した。しかし、あと一歩届かず最後は先手玉にきれいな必死がかかり、後手近藤五段の勝利となった。
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