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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年7月3日出題)

第605問(2017年7月2日 菅井七段-三枚堂四段戦)
(問605-1)
先手菅井七段、後手三枚堂四段で戦型は先手中飛車に後手の左美濃。但し、序盤居飛車は角道を開けずに駒組みを進めている。その後、相手の陣形を見て先手は三間に飛車を振り、後手は銀冠から穴熊へと進めた。戦いは、その駒組みの一瞬の隙を突き先手が仕掛けるとそれに反撃する形で始まった。その反撃は厳しく、一時は後手が有利に立ったが、美濃の堅さを頼りに穴熊の玉頭に攻めかかると優劣不明の終盤戦が繰り広げられた。
下図はその最中。今▲2四桂と打ち△同銀▲同歩と進んだところ。先手からは次に▲2三銀の打ち込みはあるが、先手陣もそれほど固くはなく、また銀二枚の持ち駒な為、受けるべきかどうかも難しい。ここで後手三枚堂四段の指した次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問605-2)
難解だった終盤戦の最中に、後手が大きな見落としをし、先手優勢になった。しかし後手も粘り、今△2六歩▲同銀に△2七歩と王手をかけたところ。こうした歩は陣形を崩す手筋の一着。どう応対しても嫌みは残るが、ここではどのような応手が良いのか?振り飛車らしい先手の次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問605-1解答)「穴熊玉頭の歩の受けの是非」
ここで実戦は△2二歩と受けた。もしこれが穴熊ではなく、他の場所で打ち込みを見せられ歩を受けるのであれば、「歩には歩」と言う基本の受けとして紹介するところだ。ところが、穴熊の場合だけはちょっと違う。穴熊の場合に、△2二歩(先手の場合▲2八歩や▲8八歩)とこの地点に歩を受けるのは、横から攻められた場合、粘りの利かない状態になりやすい。たとえば飛車を一段目に打たれ、▲3一金(と金)で必死、あるいは▲3一と▲3二へ金駒を打たれれば必死、という具合に簡単に必死になる(△2二が銀なら▲3一の駒を取れるし金なら△2一に利く)。なので、多くの場合この地点は金や銀で受ける方が良い。
ただもちろんすべてその時々の局面による。実際、ここでは歩が良いと判断して歩で受け、この後難しい終盤戦が続いた。


(問605-2解答)「端にかわす受け方」
数手前にも△2七歩と打たれ、その時は▲同銀と取ったがそれもかわすべきか迷う局面だった。ただ、ここではかわすのが振り飛車らしい一着。条件としては相手に斜め駒がないこと(すぐに入らないこと)と△1五歩の端攻めが厳しくないことの二つ。実戦も▲1七玉で先手が余せる形だ。

本譜は△6三飛成と一旦は受けに回ったが、▲2一飛から△6三の龍を動かされ▲7二金ときれいな必死をかけ先手菅井七段の勝利となった。
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