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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年7月24日出題)

第608問(2017年7月23日 佐々木慎六段-阿久津八段戦)
(問608-1)
先手佐々木六段、後手阿久津八段で初手▲7八飛から始まった。その後駒組みは、先手の角道を開けた三間飛車対居飛車穴熊という形で進行。戦いは先手が石田流に組んだ後、▲7五へ銀をぶつけて始まった。これに△8六歩から△7七角成と大技で切り返し華々しい戦いに。
下図はその直後、今△6五桂と飛角両取りに打ったところ。ここで先手はどうするか?いろいろな手がありそうな所だが、先手佐々木六段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問608-2)
下図▲7一角は局後悔やんだ手で、次の一手から後手有利に進んでいった。この角でどうすれば良かったかまでは感想戦では出なかったが、次の一手で、先手陣をまとめるのが難しくなったのは事実。その阿久津八段の指した次の一手とは?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問608-1解答)「両取り逃げるべからず」
格言では「両取り逃げるべからず」と言うが、実際には価値の高い駒を逃げる場合が多い。ここでも飛車を逃げるのは自然だ。しかし、角を取られ、銀も交換になり飛車に走られると明らかに先手不利。
そこでどちらも逃げずに▲1四歩と突いたのが実戦。この手はなるほどな一着で、まさに「両取り逃げるべからず」だ。△同歩なら▲1三歩と叩き、こちらの玉の側の駒と角を交換できる。実戦は、△5七桂不成と飛び込み、▲1三歩成と敵陣を乱してから▲5七金と桂を取り返し、難解な終盤戦へ突入した。


(問608-2解答)「両取り逃げるべからず part2」
▲7一角に対し、飛車を逃げると、▲4四角成が絶好の位置に来る。ここに駒がある訳ではないので、厳密には「両取り」ではないが、飛車取りと、絶好の位置に成り返る手を見た「仮想両取り」。これに対し、やはり飛車を逃げずに△7五銀とこの銀を取ったのが好手だった。▲同飛と取り返すと、今度は△8六飛と好位置に飛び出しながら逃げられるので、▲8二角成と飛車を取りよりないが、さらに銀取りに構わず△6八角と打った手が厳しく、後手有利の終盤戦となった。

本譜は▲1五歩から▲1四歩と攻めたが、それに乗じて△2五桂と桂まで攻めに参加させた後手が、先手玉を一気に攻め立て、最後はきれいな即詰みに討ち取り、後手阿久津八段の勝利となった。

その最終局面から先手玉の詰みを問題にし、「今日の実戦の詰み」として載せたのでそちらもどうぞ。
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