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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年10月2日出題)

第618問(2017年10月1日 宮本五段-三浦九段戦)
(問618-1)
先手宮本五段、後手三浦九段で戦型は三間飛車対左美濃。▲3九玉の低い構えから、後手の手に乗り先手が仕掛け、思わぬ所から戦いが始まった。その後、難しい駆け引きの後、先手が7筋からの攻めを間に合わそうとしたのに対し、後手が玉頭に強襲、下図となっている。角を切り、先手の飛角を銀で押さえ、△3六銀と出たところ。桂取りであると同時に△3七歩を狙っている。また▲7三歩成には△7五歩と止める手もあり、ゆっくりしていると△5六歩も間に合わされる。いろいろある所だが、この局面の急所はどこか。一番受けなければいけないのは何か?先手宮本五段の指した次の手を三手まで。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問618-2)
形勢が微妙に揺れ動く中盤戦から終盤戦が続いている。下図、後手の攻めは△1八歩成から△2八とが早い。先手からは▲5三角成と踏み込むのも有力そうだが、はっきりしない為▲3五桂とここに桂を打った。これに後手はどうするか?手抜いて攻め合うか、一旦受けるかだが、受けるとすればどのようにするのが良いか難しい。ここで指された後手三浦九段の次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問618-1解答)「自陣の急所を守る」
△3七歩と打たれても▲2九銀で銀が死ぬ訳ではないが、こういう所に拠点を作られると普通は勝てない。また、▲3三歩と打ち、取ってくれれば桂交換した後▲3七歩と打てるが、△3一金と引かれて依然自陣のキズは消せないまま。そこで、単に▲3七歩と打って、△2五銀に(△5六歩と垂らされる前に)▲6七歩と打ったのが実戦。△5五銀と引いてくれれば▲7三歩成でこれは都合が良い。

本譜は、後手もここで猛攻をかけるしかない状況。△5七歩▲6八金に△6四桂の控えの桂が味良かった。飛車を移動させた後、△5六桂と二段に使い、後手の攻めが好調、やや有利なまま終盤に入った。


(問618-2解答)「終盤決め手になる攻防の角」
第1問の所では後手有利だったが、先手も左辺のコリ形をほぐすと形勢は混沌としてきた。そして第2問の局面。金を単に逃げるのでは大きな利かされ。△1八歩成の攻め合いは、▲5三角成と踏み込まれ、「詰むや詰まざるや」の難解な終盤戦が待っている。そこで△3四角と打ったのが実戦。これは金取りを受ける(玉以外の駒で取れる)のと同時に▲6七の金取りでもある攻防の角。終盤ではやはり単に受けるだけの手、単に攻めるだけの手より攻防の手を指した方が効率が良い。それは受けと攻め、この2手を同時に指したことになるからだ。

本譜は、▲6八金と逃げるのは仕方ないように見えたが、△6七歩を利かされ、▲7八金に△1八歩成と攻め込まれると、どうも先手の方が一手足りないようだ。一歩の有る無しで詰む状態が変わる難解で見応えのある終盤戦が繰り広げられたが、最後は自玉の詰まない状態を作り上げ、先手玉に必死をかけ、後手三浦九段の勝利となった。

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