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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年12月4日出題)

第627問(2017年12月3日 豊島八段-佐藤和俊六段戦)
(問627-1)
先手豊島八段、後手佐藤六段で出だしは居飛車対三間飛車。しかし先手が穴熊を志向。そのため玉頭からの仕掛けに舵を切り△9二飛と振り戻し、定跡から外れた力戦形の将棋となった。その後、どのような方針で指すか難しい中盤だったが、3筋で一歩を取り、▲7五歩と桂頭を攻めたのが機敏な仕掛け。後手の攻めを催促する形となり、先手がペースをつかんで中盤戦から終盤戦へ入った。
下図はその途中。▲8四歩の垂らしも攻めをせかしており、このまま▲8三歩成と成れれば先手必勝。その間隙を縫って今△7七歩と叩いたところ。ここではどのように応対すべきか。先手豊島八段の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問627-2)
後手の攻めを余した後、先手が反撃に出て後手玉に襲いかかった。▲7三歩成の詰めろをかけた手に、最後のお願いとばかり△7六歩と王手をしたところ。この局面、後手玉に手を延ばす受けがなく、先手玉は詰まないので取っても逃げても間違えなければ先手の勝ちだ。しかし、どのように応対したらもっとも分かりやすい勝ちになるのか。アマチュアでも有段者なら次の五手はひと目で自然な手順。豊島八段の指した分かりやすい勝ちにする為の手順とは?五手まで。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問627-1解答)「迷ったら歩を払う」
矢倉の将棋だと桂が跳ねて来て△7七歩と金頭に打たれることは良くある。その場合、金を逃げて、元の桂から△7七歩まで完全に取り切ってしまえればその方がより優勢だ。しかし、その途中が危険。そこで、叩かれた歩は取って、桂交換してしまうのが分かりやすい。相手に持ち歩がたくさんあり、何度でも叩かれる場合は別だが、この局面のように自陣が金銀で厚い場合にも、取ってしまう方が分かりやすい有利の築き方と言える。

本譜は▲8三歩成を見せられ後手が強襲したが、その攻めを受け止め桂香を蓄えると、▲3五歩から▲3四桂と反撃、先手優勢のまま終盤へ入った。


(問627-2解答)「変化の少ない逃げ方で勝ちを分かりやすく」
実戦の進行は、△7六歩に▲7八玉△7七銀▲6九玉△6八銀成▲同飛だ。これはひと目、こう進むだろうなと思える進行で、先手玉が明快に詰まず、分かりやすい。△7六歩に▲同金と取っても勝ちで、実はソフトは以下△6七桂成▲同玉△7六銀▲同玉と進み先手必勝と読む。また△7七銀にも▲同角と取る手を読んでいるが、それは膨大な変化も瞬時に読み切るソフトならではであって、この辺りの勝ち方は人とは違うと言うこと。

本譜は図から△3三角と桂を取り、3手詰を外してから△7七歩成と形作りをしたが、▲6二金△同金▲4二銀からのやさしい詰み。先手豊島八段の快勝譜が出来上がった。

なお、△3三角▲同金△7七歩成の局面から、先手の持ち駒と盤上の駒を少し変えて、より難しく後手玉の詰みを作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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