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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年6月18日出題)

第653問(2018年6月17日 佐藤慎一五段-森内九段戦)
(問653-1)
先手佐藤五段、後手森内九段で戦型は相居飛車。角換わりの出だしだったが、お互い角を交換することはなく、先手は早繰り銀に、後手は飛車先を切り△8五飛の形に構えた。その後、後手はガッチリ矢倉、先手も5筋の位を取り大模様に盛り上がる。仕掛けたのは後手から。満を持して△7五歩〜△6五歩〜△9五歩と仕掛け、戦いが始まった。下図はその十数手後。先手は端から攻められてはいるが、後手の矢倉にも味を付けている。今、▲4六角にその当たりを避けながら△9二飛と寄ったところ。もちろんこのまま△9五飛と走られてはまずい。ここで指された先手の次の一手は?受けとして当然の一着は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問653-2)
上図から7手後。今度は先手が反撃を開始した。▲3三歩と叩き、△同銀に今▲2五桂と跳ねたところ。部分的にこのような局面は良く出現し、そのたびごとに応対は少しずつ変わる。ここではどのように指したら良いか。後手森内九段の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問653-1解答)「玉の早逃げ八手の得」
「攻防の角」と共に最もよく出題している「玉の早逃げ」がここでも正解。仮に9筋に飛車がいなくてもここは一旦▲8八玉と下がりたいところだ。と言うのもやはり玉がむき出しだといろいろと技がかかりやすいから。たとえば攻めて行って角を切った時などは、王手○○取りと言った手が常にチラつくし、桂など多くの駒を渡すといきなり△8五桂から詰まされる事もある。という訳で、ここはひと目▲8八玉と引いておきたいし、初級を抜け出した人にも是非指して欲しい手だ。

実戦は手筋の△9七歩に今度は先手が攻めを開始して第2問へと続いていく。


(問653-2解答)「攻めを遅らせる犠打」
△2四香と打ったのが実戦で、以下▲3三桂成△同桂に、もし▲2五歩と打てば△同香▲2六歩で香は助からないが、先手の飛車先を重くし、攻めをずいぶん遅らせることができる。
矢倉や角換わりなどの桂による銀取りに対し、その銀をどうするかはその時々で対応方法は違う。ただ、大きな目安として、相手に歩があって、△2四銀と逃げた時、▲3三歩と叩かれる場合には逃げない方が多い。但し、歩切れになる時は逃げることもあるし、この判断は常に状況による。

本譜、△2四香で先手の攻めを遅らせ後手が有利に立った。その後も、森内九段らしくさらにしっかり自陣に手を入れ、先手も後手玉に食らいついて行ったが、最後はきっちり一手差で先手玉を寄せきり、後手森内九段の勝利となった。

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