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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年7月16日出題)

第657問(2018年7月15日 今泉四段-藤井聡太七段戦)
(問657-1)
先手今泉四段、後手藤井七段で戦型は先手のゴキゲン中飛車に後手左美濃。5筋の歩交換が行われている局面で、先手が▲4五歩と仕掛け、これに△8六歩から△7五歩と反撃して戦いが始まった。中盤ではお互いが角を奇抜な所へ打ち合う難解な駆け引きが行われたが、先手が強襲して終盤戦へ入った。下図はその直後。今▲4二銀と打ち込んだところで、後手から見て、△4一金も△5三金もタダで取られたくない金だ。ここで指された後手の次の一手は何か?実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問657-2)
終盤戦は先手の攻めがつながるか、後手が凌ぎきるかという戦いが続いていた。しかし、▲5八金打〜▲3六金と二枚の金を受けに使ってしまった為、攻め駒不足となり、先手は千日手にするしかなくなってしまった。逆に後手としては凌ぎきれそうな所なので、千日手は回避したい。ここで指された後手藤井七段の指した一手は?へたな受けは逆につながってしまうので注意のいるところだが、指されてみると「なるほど」という受けの一手でもある。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問657-1解答)「攻め駒を攻める凌ぎ」
両金取りなので▲4二銀は取る一手。▲同飛成に何もしないと▲3一金と打たれ受けがなくなる。そこで△5二金打とこちらから打つのがこの場合の手筋だ。もちろん先手も分かっていて踏み込んでおり、以下▲3二龍△同玉に▲4三へ金駒を打ち込み、攻めきれるかどうかの勝負となる。

本譜も実際難しい勝負で、先手玉が詰めろかどうか、あるいは後手玉が何手スキかなど考えるべき事がいろいろあり難解な終盤戦は続いた。しかし自陣に駒を投入すると後手玉を寄せきるのが次第に困難になり第2問へ続いている。


(問657-2解答)「受けに使う飛車の使い方」
△4二歩は自然な受けだが▲同銀成あるいは▲3二銀成〜▲5三銀などがありまだ簡単ではない。そこで実戦は△3三飛。これは▲3二銀成に△同飛と龍に当てて取り、精算してスッキリさせてしまおうという読みだ。実際、この後局面はすっきりと精算され後手有利に進んだ。感心する飛車の使い方である。

本譜はここまで来れば後手が押し切るかと思われたが、先手も嫌らしく絡み楽にはさせない。そして最終盤、双方の玉が近づくとまさかの大逆転が起き、先手玉の「ゼ」に対し後手玉は必死、先手今泉四段の勝利となった。

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