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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年12月24日出題)

第680問(2018年12月23日 渡辺棋王-佐藤名人戦)
(問680-1)
この将棋はNHK杯ではなく、将棋の日に行われた「次の一手名人戦」を12月23日に放送したもの。
先手渡辺棋王、後手佐藤名人で、戦型は相居飛車戦。先手の矢倉に後手は雁木での戦いとなった。下図は中盤の難所で互角の戦い。今▲3五にいた角を▲1七角と引いたところ。次に▲4四歩△3四銀▲3五歩の狙いがある。△4七に角を打っているのですぐに銀が死ぬ訳ではないが、こうした狙いを持たれながら本格的な戦いに入るのは出来れば避けたい。そこでこの筋を受けるのに最善の方法は何か?後手佐藤名人が指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問680-2)
熱戦の長い終盤が続き、放送が一部手順だけになっていた。しかし、そこを通り過ぎると先手が優勢に。下図は△4一の飛車取りに構わず、今△6六桂と先手玉に迫る一手を放ったところ。ここは実際には何を指しても先手優勢は変わらない。しかしもちろん差を詰められてさらに疑問手を出して逆転されることは良くある。ここではどのように指したら差を詰められないかという問題。先手渡辺棋王の指した次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問680-1解答)「一歩で一手を稼ぐ手筋」
3手前に△3五歩と打って▲同角と取らせているのだが、ここでも△3五歩と打って▲同角と取らせることで手を稼ぐのが手筋と言える。ただ、最後の一歩なので良くある筋とは言えやや打ちづらい一着ではある。

本譜は、これに▲同角△3六角成と馬を作り、▲1七角△6六歩▲同銀右△4六歩と進んでこの後も難解な終盤戦が続いた。そしてその後手の厚い守りを巧みな手順で突破し、先手が優勢になり第2問へ続いている。

(問680-2解答)「玉の側の金は取らせない」
先手は飛車成りが約束されているので、攻めが切れることはない。となると心配なのは攻め合い負けだけ。ここでは▲4一とと飛車を取ってもまだ有利ではあるが、△7八桂成▲同玉△5六成銀と進むと後手も元気が出てくる。という訳で、やはり△6六桂に対しては、何か応対したい。
ここで渡辺棋王は▲7九金と引くのが一番安全との読みでこう引いたのが実戦。

本譜は、それでも△5六成銀とここから攻めるしかないが、▲同金△同角の局面は、もう一枚金駒を渡さない限り先手玉は詰めろにならない。そこで▲4一とと飛車を取り▲1二飛成を間に合わせ、最後はきれいな即詰みに討ち取り先手渡辺棋王の勝利となった。
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