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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年3月25日出題)

第692問(2019年3月24日 里見女流四冠-西山女王戦)
(問692-1)
今回は、来期のNHK杯に出る為の女流枠の一戦。最初に西山女王-渡部女流王位戦が行われ、これに勝った西山女王と里見女流四冠で決定戦が行われた。先手里見女流四冠、後手西山女王で戦型は相振り飛車。出だしは中飛車対三間飛車だったが、角を交換し、相向かい飛車の形で駒組みは進んで行った。駒組みが飽和状態に達すると後手が仕掛け、これを一旦は余し先手有利に。しかし簡単には後手も崩れず、難解なまま終盤戦へ。下図は今▲5一飛と打ちおろし▲8一銀の一手詰みを見たところ。受ける方法はいろいろあるが、まずどの手から考えるべきか?後手の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問692-2)
何度も先手優勢と思われる局面から後手は盛り返している。下図も今△4五同歩と金桂交換したところで、まだ先手玉に余裕があるなどと思っているとたちどころに寄せられてしまうので注意が必要(何もしないと△4六桂▲3九玉△4七角成などの強襲がある)。この局面では相振り飛車に良く出てくる受けの手筋がある。ここで指された先手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問692-1解答)「(先手が取れないなら)受けは安い駒から」
もし金を持っていて、先手を取る場合には△6一金打のような手も良く出てくるが、ここではまず▲8一銀を防ぐ為に一番安い駒である歩を考えて見たい。もちろん、最初から△6一銀と打つような手もあるが(少し後で結局打たされている)、価値の高い駒ほど攻めに使えることが多いので、歩で間に合うなら実戦のようにまず歩から使うということ。

本譜は▲5三歩と垂らしたので、結局△6一銀も打つことになったが、▲5二銀と打ち込み、その瞬間に△7四角から反撃、形勢が縮まり第2問の局面へと進んでいる。

(問692-2解答)「相振り飛車の常套手筋」
ここは▲3九銀と引く一手。この手は相振り飛車に非常に良く出てくる終盤の受けの手筋。玉の逃げ道を開け、銀を3、4筋に利かせる味の良い一着だ。級位者の人でも相振りを指す人なら知っていると思うが、初心者にも覚えておいて欲しい基本の手筋と言える。但し、銀を引くと、2筋は薄くなるので、たとえば△2二飛などがいる場合はかえって疑問手になることもあるので注意したい。

本譜はこれで先手玉が遠くなったように見えたがそんなに簡単ではなかった。最終盤は攻守を織り交ぜた攻防が繰り広げられ、どちらが勝つか分からないような熱戦に。しかし最後は後手玉を即詰みに討ち取り、先手里見女流四冠の勝利、来期NHK杯戦の出場を決めた。
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