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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年4月15日出題)

第694問(2019年4月14日 長谷部四段-屋敷九段戦)
(問694-1)
先手長谷部四段、後手屋敷九段で戦型は角換わり腰掛け銀。お互い流行の形(▲4八金▲2九飛)から銀を腰掛けたが、先攻したのは後手だった。ただ、後手の攻めは軽そうだったので先手は丁寧に受けに回りその攻めを受け止めに行った。それでも形勢はずっと難解。やがて先手に攻めのターンが回るとやや指しやすいかと思われる局面に。下図は今▲3四桂とくさびを入れて△3一玉と下段に落としたところ。後手も数手前の△8四角が攻防でまだ形勢は微差。ここで先手の指した手は何か?後手からの攻め筋が分からないと受け方も分からない。ここでの後手の厳しい攻めを読み、それを効率よく受ける手を考える。ここで指された先手の次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問694-2)
一手指した方が良く見える終盤の攻防戦。下図は馬を切って▲2三金と金を打ち込んだところ。この手自体は詰めろではないが、銀が入ると詰む形になり、このままでも▲3二金〜▲4二金〜▲2三歩成という攻めがある。ここではどのように指したら良いか?実戦だと攻めと受け、両方を考える中で見つけなければならないが、受けと言うことに限って言えばそれほど難しい手ではない。ここで指された後手屋敷九段の指した次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問694-1解答)「攻防の馬」
この数手前、△8四角が△6二金にヒモを付けながら、△3六銀▲同玉△4八角成を見た攻防の角だった。これに今度はお返しをするように指したのが▲8一馬の攻防手。△3六銀を防ぐと同時に、飛車を取っての▲5一飛が非常に厳しい。やはり角と言う駒は利きが遠くまで届くので、一手で攻防に使え、局面をリードしたり逆転したりするのに最適の駒と言える。

本譜はこの後も攻守を織り交ぜた難解な攻防が繰り広げられた。そして形勢不明のまま第2問の局面へと進んでいる。

(問694-2解答)「金を寄せて利きを足す」
ここで屋敷九段の指した一手は△5二金。先手玉に駒を渡さずに詰めろが続かないのであれば受けるしかないが、駒を使ってしまうのでは攻める時駒不足になってしまう。△5二金のように盤上の金銀を玉に寄せる手は受けの基本。ただ、終盤で受けだけの手は効率が悪く、強くなるほど指しづらくなる手でもある。しかしこうして一手入れておくことで、後手陣に多少の余裕が出来、この後も難しい終盤戦は続いた。

本譜は最後の最後までどちらが勝っているか分からない状況で推移。しかし最終盤、先手が二択の駒の取り方を間違えたのかもしれない。一手早く先手玉に詰めろがかかり、それを防く為、成桂が二段目を王手で動く珍しい押し売りが生じたが僅かに届かず、後手屋敷九段の勝利となった。
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