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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年4月29日出題)

第696問(2019年4月28日 畠山鎮七段-佐々木大地五段戦)
(問696-1)
先手畠山七段、後手佐々木五段で戦型は角換わり腰掛け銀。後手が待機策を取り、先後共にどのように仕掛けるか手探りの長い中盤が続いた。そして、中央に位を張った先手に反発する形で戦況が動いていった。その中盤に放った先手の自陣角が味良く、やや先手ペースかと思われたが、後手も離されず追走。下図は▲1八角に△3六角と角を合わせて反撃したところ。ここではどのように凌いだら良いか?先手の指した次の三手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問696-2)
途中、取られる桂をタダで跳ねる手筋に対し、問題に採用したいような離れた金を活用した手もあり形勢混沌。△2六馬の金取りが受けづらく先手の忙しい局面に。それでも今▲6三桂成と銀を取りながら王手をされており、受け形を間違えると先手の固い陣形が生きる。ここは王手なので何かで取るしかないが、盤面全体を見てどのように取ったら良いかを考える。ここで指された後手佐々木五段の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問696-1解答)「狙いを消して攻防の角」
実戦の進行は、▲3三歩成△同金に▲2九角。▲3六同角と取るのは△同歩で攻めに勢いをつかせてしまいそうだ。▲2九角は△4七歩成を防ぎながら遠く7四を狙っており攻防の角。ただすぐに引くのは△2五あるいは△4五桂で桂を助けられてしまう。という訳で、▲3三歩成と先に桂を取ってからの▲2九角が実戦の進行。

本譜は、じっと△2七角成と成っておき、▲7五歩にも△8五歩から△3六歩で相手の焦りを誘い、さらに▲4五桂というタダ捨ての手筋に△4四金から手にのり逆に寄せづらくし、むしろ後手ペースになり第2問に進んでいる。

(問696-2解答)「厚い場所へ玉の脱出」
玉の側の金銀を取られた場合、金や銀で取り返すことは多くむしろそれが普通。しかし、ここはひと目△同玉と玉で取りたい。と言うのも、後手玉の安全な場所は△7二より左辺で、持ち駒の銀桂だけでは4筋5筋へ逃げ込んだ玉を捕まえきれないからだ。

実際、本譜は銀桂だけでは寄せきれないと見た先手が▲5八飛からこの飛車を馬にぶつけ勝負形にしようとしたが、駒を蓄えた後手が、△7五桂から一気に先手陣に襲いかかり、最後は華麗な即詰みに討ち取り、後手佐々木五段の勝利となった。

なお、この将棋の最後の詰みの局面を余詰めを消すなど修正したので「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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