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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年5月13日出題)

第698問(2019年5月12日 松尾八段-村山七段戦)
(問698-1)
先手松尾八段、後手村山七段で戦型は相掛かり戦。駒組みは同形で長くなるかと思われたが、後手が動き、これに少しでもポイントを稼ごうと、好所の生角を放ち局面は進んで行った。そして急に激しくなり終盤、下図は今△8五飛と銀取りに飛車を走ったところ。6五の銀取りと△8六歩を見られている。ここではどのように銀取りを防いだら良いか?先手松尾八段の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問698-2)
最終盤、飛車を切って先手の玉をつり出したもののやや駒不足。△3七銀不成と桂を補充した手に▲6三歩と手筋の叩きが来た。次の歩成りは詰めろなのでこの歩は手抜けない。ここではどのように応対したら良いか?後手村山七段の指した次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問698-1解答)「まさに、手筋の歩の突き出し」
ここでの次の一手は▲7五歩。まさに手筋の歩だ。銀取りなので、つい▲7四銀と飛車に当てて出たくなるが、△3五飛と回られるとまた△3七銀成を受けなくてはならない。▲7五歩が指された瞬間、「あ、そりゃそうだ。」と納得の手筋の歩。このような歩を第一感として見えるようになりたいもの。

本譜は、この後難解な終盤戦に入った。後手は飛車を切り(切らされ)、代わりに先手玉は不安定な上部へ。そしてその攻めの間隙を縫って先手からの手筋の叩きが入ったのが第2問である。

(問698-2解答)「攻めを見た取り方」
ここは角で歩を取る手もあり、もし双方の玉がこの位置にいないのであれば、「金は引く手に好手あり」の△6一金が固い。しかし、この局面、▲6一飛に△5一桂で(角が動いた後)金を取られる手もないので、△6三金と金で取って先手玉にプレッシャーをかけたい。実戦もそうなったが、△5八角成と成れば、上下の挟撃体制になるからだ。

本譜は形勢が少しずつ揺れ動いたと思われる。しかし最後、自玉が詰まないと見切って、先手玉に詰めろで迫り、最後は必死をかけ、後手村山七段の勝利となった。

なお、この将棋の終局図から後手玉は(金がなくても)銀一枚あれば詰みなので「今日の実戦の詰み」もどうぞ。

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