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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年9月9日出題)

第714問(2019年9月8日 行方八段-佐藤天彦九段戦)
(問714-1)
先手行方八段、後手佐藤九段で戦型は相矢倉。但し昔からあるようなガッチリ組み合う訳でも急戦調の将棋でもなく、最近の将棋に特有の全体的なバランスを重視する駒組み。どのように進めるか構想力を問われる難しい中盤戦から先手が角を自陣に打って局面は動いた。対して後手は、香成りと馬を作り先手の攻めを余しに。そして下図、今▲4五の桂を銀で取り、▲同歩△同飛となったところ。縦横に飛車が利いており、直接的には△4六歩の銀取りを受けなければならない。ただ平凡な▲4六歩は△2五飛と回られてしまう。そこでここではどのように受けるのが良いか?先手の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問714-2)
上図から難解な攻防が繰り広げられたが、少しずつ先手が有利になっていった。それでも下図、龍を切り今△7八銀と角金取りに打ち込んで先手玉に肉薄している。将棋では頻繁に出てくる両取り。その時々で指し方は変わるが、ここではどのように指すべきか?有利を広げる為のここでの次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問714-1解答)「手筋-歩の突き出し」
実戦、▲3五歩がこれぞ手筋って感じの一着。△4六歩に▲3六銀を用意すると共に▲3五の歩は何で取っても味が悪い(飛車が死ぬ)。さらには本譜もそうなったが、▲3四歩と取り込めば大きな攻めの拠点ともなる。

これに本譜は△4一飛と深く引き、▲3四歩に△2五馬と馬の威力で玉頭の攻めを緩和しようとした。しかし先手も▲3六銀打から▲5七角と馬にぶつけ簡単には拠点の駒を精算させない。そして今度は後手が先手玉を攻め第2問へと続いている。

(問714-2解答)「玉の早逃げ八手の得」
両取りの場合、片方の駒の価値が極端に高ければ普通はそちらを逃がす。しかし同時に両方は取られないので、「両取り逃げるべからず」の格言通り別の有効な一手を指すことも多い。実戦、ここで▲9七玉と立った手が優勢を確定させた一着。△7九銀不成と角を取られてももう一手▲8六玉と上がって先手玉が非常に安定し、少しくらい駒を渡してもすぐに詰まない形となった。

本譜はそれでも執拗に切れないように先手玉に食い下がったが丁寧に応接した後、一転後手玉を攻めると、最後は即詰み、先手行方八段の勝利となった。
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