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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年10月7日出題)

第718問(2019年10月6日 高見七段-増田康宏六段戦)
(問718-1)
先手高見七段、後手増田六段で戦型は力戦形の相居飛車。先手が横歩を取り、手数をかけて飛車を戻したのに対し、後手は銀を繰り出し手得を主張した。その後構想力の問われる難しい中盤戦は続いたが、3筋5筋の位を取った先手の方が模様は良さそうに見えた。しかし、戦いが始まると形勢は逆に後手有利に。下図はその終盤。△5七銀と急所を押さえられ先手玉ピンチに見える。▲3五桂△3四玉で後手玉を危険地帯に誘い出したもののまだ駒不足。そこで、ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問718-2)
後手優勢から先手も粘り形勢は一時混沌とした。しかし先手玉を王手の連続で追い回しあと少しとなっている。ただ後手玉は▲3四龍の一手詰。先手玉が詰まないなら受けるしかないが、ここではどのように受けるのが良いか?玉頭戦における一つの考え方としてどう指すべきかという問題。ここからの進行を3手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問718-1解答)「玉頭に張り付かれた時の一つの受けの形」
次に何もしないと△7七角の王手や△5六桂が急所の寄せとなる。そこで▲6八銀と打ったのが実戦。このような局面における一つの形で、実戦も一度そうなったが、△5六銀とつないでくれば▲5七銀△同銀▲6八銀と千日手で逃げる手を見ている。ただ後手有利なので当然ここは後手が打開する。

本譜は△8二角▲3七歩を利かし、△6八銀不成から△5六金と貼り付いて先手玉に迫った。しかし先手もしぶとく粘り、一時は逆転かと思われるほどの熱戦に。しかし再び後手が優勢になり第2問へ続いている。

(問718-2解答)「玉頭戦の心得-厚みを築く」
実戦は△2六銀と王手で打ち、▲同玉に△2五銀とこの地点に銀を打った。単に△3五角成と桂を取り、▲同金△同歩でも後手玉は詰まないので勝てそうだが、銀を一枚損しても△2五に銀を先手で入れるのがいかにも実戦的。玉頭戦では駒の損得以上に厚みがある方が有利になることが多い。ここを押さえておくことで逆転の芽を摘んでいるとも言える。

本譜は▲2七玉に△3五角成と急所の桂を払い後手勝勢。最後は長手数の詰みをしっかり詰まし後手増田六段の勝利となった。
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