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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年10月21日出題)

第720問(2019年10月20日 広瀬竜王-三浦九段戦)
(問720-1)
先手広瀬竜王、後手三浦九段で戦型は横歩取り△3三角戦法青野流。最新の研究手順で進行し、仕掛けは7筋から後手が動きそれに乗じ先手が反撃するという形で進んだ。下図は飛角交換後、▲7三歩に△7七歩と叩いたところ。この金取りは受けるしかない。応手は少ないが、この後の後手の攻めを考えどのように受けるか。先手の次の一手は何?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問720-2)
先手は終盤、後手に手持ちの駒を受けに使わせてポイントを重ねた。それでも今、△5五桂と狙いの難しい手を指されたところ。桂を成り捨てて再度の桂や△6五角、さらに△4四飛など王手で両取りの筋をたくさん見せられ、一箇所だけを受ければ良いという訳ではない。そこで先手はどうすべきか?手抜いて大丈夫と思えば攻める手を指すことも出来るが、しっかりと受けたい気もする。ここで指された先手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問720-1解答)「そっぽへかわす場合の受け方」
実戦▲8八金とこちらに寄ったのが飛車を取られる手を見越しての逃げ方。歩を叩かれた場合、基本はまず取る手から読む。そして取って大丈夫なら取りたいし、逃げる場合も玉の方へかわすのが自然。但し、この局面のようにすぐに飛車を取られる(飛角交換される)場合には、その後飛車を打ち込まれることも考えて逃げ方を決めることになる。

本譜はこの歩を残したことが後手に取って悩みの種となった。部分的には大きな利かしだが、一方で△7一歩の底歩がいつまで経っても打つことができず、受けに窮し不利を招いた。そういう意味でもこの逃げ方は「なるほど」と思えるものだ。そして、この後、徐々に先手が有利になっていく。

(問720-2解答)「桂頭の銀か攻防の角か」
ここで実戦は▲5六角と攻防の角を放って様々な筋を未然に受けた。銀を使って「桂頭の銀定跡なり」とするのも有力だと思うがこうした選択はその局面ごとに変わってきて常にどちらが良いかを考えることになる。特にこの場合はすぐに△4五角と合わせられるのが分かるので、2三に利かせる角というよりは、▲5六歩を突いた方が(△5六角▲同歩となる方が)良いとの判断だろう。

本譜は後手も攻防の飛車を打ち、受けながら先手玉に猛追。その後もハデな手が両者に出て見応え十分な終盤戦が繰り広げられたが、最後は後手玉を即詰みに討ち取り、先手広瀬竜王の勝利となった。
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