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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年11月11日出題)

第723問(2019年11月10日 糸谷八段-千田七段戦)
(問723-1)
先手糸谷八段、後手千田七段で戦型は角換わり腰掛け銀。先週と同じく双方▲4八金▲2九飛から銀を腰掛ける流行の形。そして50手前後までは定跡通り短時間で進み、そこから先手は桂得、後手は先手の歩切れを突いて玉頭から圧力を加えた。下図はその直後。今▲6六銀に△7六金とすり込んで来たところ。次に△8六歩が来ると先手陣はもたない。そこでどうするか?ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問723-2)
接戦を後手が抜け出し、少しずつ有利になっていった。しかし今、▲8二歩と飛車筋を止められ、△6一飛に▲6二銀の強烈な一着が出たところ。下図はその後に△6八歩▲2九飛を利かしてはいるが、依然▲6二銀の飛車取りは残ったまま。ここはどのように対処するのが良いか。受けの周辺だけではなく、攻めの手段も考えながら受けの選択も考える。ここで指された後手の次の一手は?実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問723-1解答)「持ち駒を投入して補強」
ここは実戦のように▲7七銀打と投入するのが手厚い一着。初心者のうちは何かの取りになっていないと分かりづらいかもしれないが、次に△8六歩が非常に厳しいということに気づけばここを受ける必要があるということも分かる。但し、▲7七銀と引いて受けられるかどうかは問題で、もちろんそれで受け切れるなら銀を使わない方が良い。こうしたところでは、読みと同時にこれでは薄いという感覚があれば銀を投入することになる。

本譜は後手が食いつけるか、先手が振りほどけるかの攻防が続いたが、垂れ歩を残したまま手駒を増やしていった後手が少しずつ有利になり第2問になっている。

(問723-2解答)「詰めろのかけ方、かけられ方」
終盤ではもちろん詰めてしまえば一番早いが、その前の段階、詰めろがかかるか掛けられるかと言うことは常に問題になる。ここで飛車を逃げるのは▲5三に王手で角を成られ、場合によっては▲8六馬と急所の拠点を取られてしまうのであまり考えたくない。そこで、△6二飛と銀を取り、▲5三角成の王手飛車に△2二玉と囲いに入って飛車を取られた後に、角金銀銀で先手玉に詰めろをかけることを考える。受けと言っても受けだけを考えるのではなく、常に攻めと表裏一体。詰めろをかけられるか、また自玉に詰めろがかかるかどうかを読みながら受けの手を指す事が必要だ。

本譜は、先手玉に詰めろをかけられたが、これを桂のタダ捨てから攻防に飛角を利かして凌ぐギリギリの終盤戦が繰り広げられた。しかし最後は、自玉を安全にしながら先手玉を寄せきり、後手千田七段の勝利となった。
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