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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年6月15日出題)

第748問(2020年6月14日 中村太地七段-谷川九段戦)
(問748-1)
新型コロナの影響で2ヶ月以上放送がなく、これは再開後初の対局。先手中村七段、後手谷川九段で戦型は角換わり腰掛け銀。双方▲4八金▲2九飛の形から細かい折衝の後、先手が角を打ち込み、この角を後手は取りに行った。そして角金交換となり、直接▲2四桂と良くある終盤の手筋を放ったのが下図。ここで後手はどうするのが一番被害が少ないか。良くある対応は四つなので、それを列挙すると、(1)手抜き(2)△4二金(3)△同歩▲同歩△同銀(4)△同歩▲同歩△3一桂の四択。もちろんその局面によって最善の応手は変わるが、ここではどれが良いか?実戦の進行を一手又は三手まで。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問748-2)
先手の攻めを一旦凌ぐと、後手も反撃を開始した。しかし、先手もその後手の攻めに耐え、局面は難しいまま推移。△7六歩に▲8八銀と辛抱すれば、後手も△1二歩と収める。これに▲7四歩と垂らしたのが下図。部分的には遠いように見えるが、この飛車は▲4二歩成を防いでいるので、先手としては飛車を攻めるのが早い。ここで後手の指した手は?盤面全体の次の一手としてはそこまでやさしくないが、受けに限って言えばこの一手とも言える。後手の指した次の一手は何?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問748-1解答)「駒得を主張する一番頑張った受け方」
△2四同歩と桂を取り、▲同歩に△3一桂と打ったのが実戦で一番頑張った受け方。但し、頑張っている分玉が狭くちょっとした見落としで負けになることもあるので注意が必要だ。問題図の局面、厳しい攻めがあるなら手抜きで攻めるのもあるし、△4二金と逃げて先手からの追撃がないなら逃げておく手もある(ここでは▲1五歩からの端攻めが厳しい)。さらに、三手目△同銀と払ってしまうのは玉の安全を優先した手だが、駒得ではなくなるので再度の形勢判断が求められる。

本譜は、▲4五歩に△5四銀と活用し、一旦先手の攻めを凌ぎ、△2八歩から反撃。この攻めを先手も丁寧に受けて熱戦のまま第2問へ続いている。

(問748-2解答)「価値の高いと金を作らせない」
ここでは△4三銀とこの歩を払うのが味の良い取り方。将棋においてと金は常に攻めに有効な駒だ(渡しても歩なので)。しかし、一般的に玉から遠いと金は近いと金より価値は低い。という訳で、▲7三歩成は許せても▲4二歩成を許してはいけないということ。

それでも本譜は難しそうだったが、▲5三とに期待し▲4五歩を利かせたのがどうだったか。△5五銀と出た形が後手の攻めの拠点となり先手陣に襲いかかった。その後、谷川九段のイメージとは違う丁寧な受けで後手優勢。最後は、先手玉を長手数の詰みに討ち取り後手谷川九段の勝利となった。
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