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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年8月8日出題)

第760問(2020年8月7日 西山女流三冠-佐々木慎七段戦)
(問760-1)
この対局は新型コロナの影響で深夜に放送されている。先手西山女流三冠、後手佐々木七段で戦型は三間飛車対左美濃からの銀冠。先手が石田流に組み替えようとしたところ、それを阻止すべく動いた手に合わせ四間に振り直し6筋から戦いを起こした。その先手の手にのり後手も飛車をさばき難しい中盤から終盤戦に突入。下図は、▲4五角と龍銀取りに角を打ったところ。一見、両取りで後手が困っているかのように見えるが、もちろん双方共に次の一手も織り込み済み。問題集に出るような次の一手で、その手を指せれば後手優勢。その手を逃すと形勢は急接近しそうで先手にも楽しみが出る。ここで指された後手の次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問760-2)
上図から手厚く指した後手が終盤も優勢に進めた。下図は、(先手から見て)端も詰められた上、今△9四角と遠見の角を打たれ受けづらい局面になっている。平凡な▲6八金や▲5七金は△4九角成と切られこれはすぐに負け。しかし、こうしたところでも、しぶとく粘ることにより(相手の僅かなミスで)逆転可能な将棋の作りになる。ここで指された先手の次の一手は?実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問760-1解答)「取りを防ぐ焦点の歩」
両取りだからと、たとえば△9九龍などと逃げるようでは▲6三角成で先手もやる気が出る。ここは△6七歩がこの一手とも言うべき焦点の歩。これで両取りが受かっている。つまり角で取れば銀取りがなくなるので龍を逃げれば良く、本譜もそうだが飛車で取らせてから銀を受けておけば良い。このような手は時に有段者でも見落とすことのある手筋なので、しっかり読みに入れるようにしたい。

本譜は、少しずつ差を広げ後手優勢が縮まらない。そして懸命に粘っている最中なのが第2問である。

(問760-2解答)「大駒を不安定にさせる中合いの歩」
△9四角はかなり厳しく、実際どう受けても先手苦戦だ。しかし、ここで▲8五歩と中合いの歩を打ったのが実戦的な受け。△同角に▲5八角と辛抱し、相手の攻めを待つ。本譜のように進んで角交換になると、▲8五歩は単なる一歩損で意味がないように見えるが実際は違う。△9四角の位置はタダで取られることがないので、後手はゆっくり攻めることが出来るが△8五角はかなり不安定な位置。逆転を狙う粘りの筋として会得しておきたい。

しかし本譜は間違えることなく確実に差を広げた。角交換から再度の角を打つと、先手陣は受けることが出来なくなり、まだ美濃はそのまま残っていたが先手投了、後手佐々木七段の勝利となった。
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