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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年8月17日出題)

第762問(2020年8月16日 杉本昌隆八段-佐藤康光九段戦)
(問762-1)
先手杉本八段、後手佐藤九段で戦型は相居飛車。初手▲1六歩と相手の出方を見ながらの序盤戦で、結局相居飛車の力戦形となった。その後、仕掛けをうかがいながらの中盤が続き、途中の仕掛けを自重すると持久戦模様に。そして△7五歩から始まり、端にアヤを付け、先手も▲5六歩から▲4五歩と角道を通すと一気に盤面全体の戦いへと進んだ。下図は、飛車を手に入れ今▲4一飛と王手金取りに打ったところ。後手にとってはちょっと痛そうにも見えるが、まだそれほどの差はない。ここでは王手を防がなければならないが、どう受けるのが最も良いのか?後手の指した次の一手は何?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問762-2)
終盤は二転三転した。△5六飛と龍金取りに打った手に先手が猛攻。この攻めが功を奏し先手優勢に。下図は▲3五角の王手に△4四歩と中合いして凌いだところだが、実際には▲同角と取れば詰みがある。しかし複雑で長いので、はっきり読み切らないと踏み込むのは危険。と言うわけで、ここで先手が指した確実に勝つ為の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問762-1解答)「合駒の選択」
終盤で王手をされた時の受け方というのは、その局面によって様々だ。特に相手への攻めに必要な駒を使ってしまっては勝ち味に乏しくなるし、かといって簡単につぶされる受けでは元も子もない。ここでは△3一銀と銀の合駒が一番しっかりした陣形となり、また攻めにもそれほど大きな影響はなさそう。ただ、使わずに済むなら△2二玉と上がる手も一応は読みたいし、攻めに桂が必要でないなら、安い駒で間に合わないかどうかも考える。

本譜は、先手陣にも△5五桂が入り火の手が上がった。そしておそらくは見落としと思われる▲5八金打を△同馬と取られ逆転し後手有利に。その後、一瞬の間隙を縫って後手玉に襲いかかり、再逆転し勝ちまであと少しとなったのが第2問である。

(問762-2解答)「詰みが読み切れない時は詰めにいかない」
ここで▲5七歩と打って受けたのが冷静な一着。問題図△4四歩の受けには、▲同角△6四玉に▲6二角成の開き王手で(他の開き王手でも)詰みだが、実戦ではさらに合駒された変化まで読み切らなければならない。特に中段玉は見落としやすいので、確実な受けがある時は、詰めに行かずに手を入れるのが手堅い勝ち方と言える。もちろん、すべての変化をしっかり読み切って詰められればそれに越したことはない。

本譜はこの▲5七歩で後手に手がなく、この後数手で後手投了、先手杉本八段の勝利となった。
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