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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年9月21日出題)

第767問(2020年9月20日 畠山鎮八段-豊島竜王戦)
(問767-1)
先手畠山七段、後手豊島竜王で戦型は矢倉脇システム。お互い端歩も突き合った先後同型から先手が▲2六銀と出ると後手は角を交換して△4七角と打ちこんだ。ここから後手の馬対先手の攻めという形で中盤戦から終盤の戦いに入り、虚々実々の駆け引きは続いた。そして終盤、後手は得した香を△8三に据え一気の攻めを見せると先手は薄い後手陣に襲いかかる。下図は△1五の馬に当てて▲2六金と打ち、△1四馬に今▲2五歩と合わせたところ。次に▲1五歩と打たれると馬が死ぬ(実際には金との交換になる)。ここで指された後手の次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問767-2)
上図から受けに数手手を入れた後、△8六香から△7五歩と攻めた。これに先手も攻め、▲2四歩から今△3六馬▲同金と再び角交換に進んだところ。この局面は▲2三歩成があるのでさすがにこれを手抜きは出来ない。ただ単純に△2二歩と受けるだけで良いかどうか。後手の指した次の一手は?ここからの実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問767-1解答)「玉の早逃げ八手の得」
ここでは△3二玉が馬の退路を作りながら戦場から遠ざかるこの一手となっている。▲1五歩と打たれてもタダで取られる訳ではないので、損のない有効な攻めがあれば手抜きも考えられるが、△8六香などでは渡した香でかえって攻められてしまう。さらに馬取りがなくても△3二玉と引きたいところなので、この一着はかなり味良い一手と言える。

ただ本譜はそれでも微差の難しい攻防は続いた。△7五歩の瞬間に▲2四歩と取り込み、どちらが一手勝ちか分からない終盤戦が続くことになるその最初の局面が第2問である。

(問767-2解答)「守りの飛車の位置をずらす手筋」
ここでの実戦の進行は△2七歩▲同飛に△2二歩。単に△2二歩だと飛車の位置は▲2八のまま。この位置というのは実は受けにも利いている。特に詰めろをかける時、飛車の横利きがあって詰めろになっていないと言うことは良くある。そこで実戦のように飛車の位置をずらすという手筋があり、これが先手玉を攻める時に役に立ってくるという訳。

本譜はそれでも最後まで難しく、その最終盤には先手に強烈な一着も飛び出したが詰めろでないことを読み切ると、最後は長手数の詰みを軽やかに詰めきり、後手豊島竜王の勝利となった。

その最後の詰みは軽快な手筋一発だったのでその手を入れ余詰を消して作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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