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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年10月26日出題)

第772問(2020年10月25日 高野智史五段-久保九段戦)
(問772-1)
先手高野五段、後手久保九段で戦型は後手ゴキゲン中飛車対超速。先手が中盤、▲3八金から▲3七〜▲4六と押さえ込みに出た手に対しどのようにさばくかの争いとなったが、押さえ込みが成功する形で先手が有利に進めた。その後、飛車交換にはなったものの金が遊び後手の棋勢は好転しない。下図は、端から攻められているところ。歩を叩かれ▲8五桂は攻めの筋だがこのまま放置すると▲6一龍がある為一気に寄ってしまう。ここで指された後手の受けは何か?美濃の端を攻められた時の一つの手筋と言える次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問772-2)
上図から徹底抗戦の後手に先手も少し攻めあぐねた感はある。優勢ではあるものの二枚腰で粘られ今△7六金と玉頭にすり込まれたところ。△8六金や△8七金はあってもそれですぐに寄ってしまう訳ではないが、ここではどのように指したら良いか?ここで指された先手の次の一手は何?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問772-1解答)「懐を広げる玉頭の歩突き」
ここでは△8四歩と桂取りに突き出すのが手筋。▲同角と取られると意味がないように見えるが、実際は玉の移動範囲が増え、強襲に耐えることが出来る。

本譜は▲9三桂成と香を取ってから▲5五銀と手を戻した。そしてその後も先手の攻め、後手の受けという形で進行し、先手優勢のままの終盤が続いているのが第2問である。

(問772-2解答)「終盤に良く出る攻防の角」
攻めの筋としては香しか持っていないので、角の王手が普通に厳しい。問題はどこから打つかだが、実戦の▲4七角が金にヒモを付けながらの王手なので、いかにも味良しの一着となっている。

本譜は△7四香に▲6五銀と立ち決まったかと思われたが、△3四飛成からの粘りがまた凄かった。途中、先手にも詰めろがかかるほど肉薄、しかし早逃げで敵駒から遠ざかると最後は後手玉を華麗に寄せて先手高野五段の勝利となった。

なお終局直前の局面から少し盤面を変えて、「今日の実戦の詰み」を作成したのでそちらもどうぞ。
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