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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年3月1日出題)

第789問(2021年2月28日 羽生九段-斎藤慎太郎八段戦)
(問789-1)
先手羽生九段、後手斎藤八段で戦型は相矢倉戦。後手が急戦を目指した手に先手がしっかり受けると持久戦調の駒組みへと変わった。その後、先手が5筋を交換した後(感想戦で)端歩に付き合ったのは危なかったと言っていたように▲3七の銀が出遅れやや後手ペースで進む。下図は、今△8六歩と後手が仕掛けて来たところ。矢倉では必ず出る飛車筋の玉頭の歩突き。実戦で指された次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問789-2)
僅かな模様の良さから徐々に有利、そして先手の攻めを凌ぐと終盤では後手優勢となった。下図はその終盤。今△3七歩の叩きに▲5八飛と回ったところ。すでに優勢なので勝ち方としては一つではないかもしれない。ただ人間同士では特に棋力によっても勝ちやすい順と一手のミスで逆転する危ない勝ちの手と言うものもある。ここで指された後手の次の一手は?実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問789-1解答)「相手の攻めを考え二択を選ぶ」
相矢倉で玉頭を突かれた時はほぼ取る一手。ただ、歩で取るか銀で取るかは常に悩ましい。歩で取る場合は、多くの場合継ぎ歩が厳しいかどうか読む事になる。銀で取った場合には玉のコビンが開くのでその筋からの攻めがあるかどうかを読む。あるいは銀が離れるので、横から攻められた時の耐久力なども考えなければならない。この局面は、▲同歩はもちろん△8五歩からの継ぎ歩で、▲同銀は△2二角から間接的な王手のラインをどう受けるかということになる。

本譜は実際どちらもあったと思うが実戦は▲8六同歩と歩で取った。そして△8五歩から△9五歩と端もからめてきた後手の攻めに先手も後手玉の玉頭を攻め激しい終盤戦となった。ただ後手の攻めの方がより厳しく、勝ちまでもう少しとなっているのが第2問である。

(問789-2解答)「陣形を乱してから大駒を逃げる」
実戦の進行は、△5七歩▲同飛に△8二飛。一本△5七歩はいかにも筋。ひと目ここに目が行けばアマ初段と言える。そして実戦はじっと△8二飛。この手は固い手で、△8八歩成から攻め合っても一手勝ち出来そうだが飛車を逃げておく手は間違いのない手と言えるかもしれない。

本譜は▲5四角成くらいだが、△8八歩成▲同玉に△6八銀が寄せの筋。仕掛けの僅かな有利さを徐々に広げて後手斎藤八段の勝利となった。
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