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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年11月8日出題)

第825問(2021年11月7日 郷田九段-渡辺明名人戦)
(問825-1)
先手郷田九段、後手渡辺名人で戦型は角換わり腰掛け銀。最新形から複雑な手待ちを繰り返した後、先手が端から仕掛けて戦いが始まった。その仕掛けに後手は攻めを引っ張り込んだが巧みな手順で徐々に先手がリード、一気に後手だけ終盤戦の様相を見せてきた。下図はその攻めが決まったとも思える局面。今▲1一角と王手したところ。ここで後手はどうするか?寄せの格言はあるけれど受ける立場から見るとそれは逆になる。ここで指された後手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問825-2)
上図から先手優勢のまま進んだが、後手も反撃を見せつつ粘る。下図はその後手の受けを粉砕する決め手のような一着▲4五銀のタダ捨て局面。角でも桂でも取ると簡単に詰むこの場面で後手はどう指したか?正確に指されれば負けでも、常に正着を指さないと逆転するように指して、攻め方にプレッシャーを与えたい。ここで指された後手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問825-1解答)「玉は下段に落ちない」
ここは△3二玉と寄る一手。▲1一角に対し△同玉と取るのは、▲3三歩成から▲1三銀と頭から押さえつけられすぐに必死がかかってしまう。▲1一角は、「玉は下段に落とせ」の格言通りの一着。これに対し、受ける側とすれば下段に落とされると寄せられてしまうので、下に落とされないように逃げる必要がある。と言うわけでここでは△3二玉と寄るのが正着だ。

ただ、先手優勢は変わらない。▲5五銀左とぶつけ戦力を補強すると、さらなる後手の受けに妙手の▲4五銀が出て、後手が受けに窮しているのが第2問である。

(問825-2解答)「駒を補充して逆転の即詰みを狙う」
「▲4五の銀をどちらで取っても詰み」となれば後は早逃げくらいしかないと思えるところだが、それ(△4二玉)も▲4三銀と打ち込まれると△5一玉しかなく、やはり必死がかかってしまう。実戦、△5二金と寄ったのは、(もちろんこれでも正確に指されればダメだが)▲5四銀△同歩とさらに銀を一枚入手し、先手玉の即詰みの筋を残しておく受け方。先手玉は、△7八飛成▲同玉△8六桂▲同歩に△8七銀から駒がたくさんあれば詰む形。先手もそれに気を付けながら後手玉を寄せなければならない。

本譜は、▲4五の銀を渡してもまだ先手玉が詰めろになっていないのを見越し▲5四銀△同歩に▲3四角の詰めろで勝勢。最後は△4三歩の受けにきれいな必死をかけ先手郷田九段の勝利となった。
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