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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年11月29日出題)

第828問(2021年11月28日 豊島九段-丸山九段戦)
(問828-1)
先手豊島九段、後手丸山九段で戦型は一手損角換わり。先手が早繰り銀に出ると、後手は玉の去就を保留にしたまま、飛車先から動き好形を目指した。下図はその直後、次に△6五歩と突ければ飛車が軽くなり伸び伸びした陣形になる。その瞬間に、今▲3八飛と金取りに寄り後手の受け方を聞いたところ。こうしたところでは最善が何かは難しいが、実戦で指された手は自然な一着にも見えた。心配な面はあってもここで指された後手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問828-2)
上図から徐々に先手が有利から踏み込み優勢となった。下図は角桂と金銀の交換で、龍が出来ている。そして今、△9五桂と攻めに手をまわしたところ。先手陣への攻めとしてはここが急所で、△8七桂成▲同玉△7六馬となればあっという間に逆転だ。ここでは先手はどのように受けるのが良いか?先手の指した次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問828-1解答)「敵駒の利き筋に駒を入れない-玉でヒモを付ける」
飛車筋が通ったままでかなり怖い形ではあるが、△4一玉と玉で金にヒモを付けたのが実戦。△3三歩と打てば固いが、大きな利かされであるし、△3三銀のような手は▲3七桂から跳ねて来られるとすぐに当たる。一時的に金取りを受けられても、このように当たる場所に駒を動かすとかえって攻められやすい。

本譜はこれでも▲3七桂から攻めの態勢を築くと、やや強引とも思える手順で飛車成りを実現、先手優勢となり迎えている終盤戦が第2問である。

(問828-2解答)「読みを入れて-金駒を取らせない」
実戦、ここで▲9六銀とかわした手は、7筋が薄くなるだけに怖い手だ。ただ、もちろん△7六馬や飛車は大丈夫と読んでの一着。問題図は、何も考えなければ▲9六銀打と一枚入れるのが普通に見える。但し、それなら陣形はしっかりしても、銀を投入してしまうので差は縮まり勝ちまではまだ遠い。読みに自信があるなら、本譜のように▲9六銀とかわして、敵玉との距離感をしっかり読んで勝ち切るのが早いと言えるだろう。

本譜は、△8八歩に▲3四歩△4二角▲9一龍と進み、▲5六香を見せた。そのため後手も忙しく、飛車を切って先手陣に襲いかかったが、冷静に詰めろを外すともらった飛車で一気に後手玉を受けなしに追い込み、先手豊島九段の勝利となった。
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