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NHK杯に見る受けの手筋

(2022年1月31日出題)

第836問(2022年1月30日 佐藤天彦九段-日浦八段戦)
(問836-1)
先手佐藤九段、後手日浦八段で戦型は相居飛車。矢倉の出だしから、後手が飛車先を受けず中住まいの形で駒組みを進めた。しかし、序盤から中盤にかけ構想があまりうまく行かず、後手の苦労する展開に。下図はまだその中盤。△6三玉から△7二玉と玉を右玉に移しタイミングをうかがっているところ。ここで先手の指した次の一手は?手の広い局面で何でもありそうだが、攻める前に手を入れる受けの一着と言えば?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問836-2)
上図から△6三金に▲4五金と出て攻めを見せると、後手は動かざるを得なくなり、先手はその面倒をしばらく見ることになった。下図は、△8四桂▲8五銀に、今△7五銀と出たところ。AIの形勢はすでに先手優勢80%を超えているが、ちょっとでも間違えるとたちどころに逆転するのが将棋の終盤戦だ。ここで優勢を維持する次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問836-1解答)「攻める前にキズを消す一着」
ここで▲6七歩と打ったのが実戦で、見ている時は感心した一着だった。感想戦では、「良い手かどうか分からない」と言っていたが、次に▲4五金や桂など攻める手を見ており、必ず駒を渡すのでその時に△6六桂などの反撃を未然に防いでいる。

本譜は▲4五桂を気にして△6三金と備えたが、▲4五金と金で出たのが機敏な一着(感想戦で読みになかったと)。▲3四金を見せられると後手は攻めざるを得なくなり、その攻めを丁寧に受け先手優勢の終盤戦が第2問である。

(問836-2解答)「反撃を見せる受け」
引いてくれるなら▲7六歩と打って安泰だが、当然△同銀など桂損で踏み込んで来られる。と言うことで、ここでは反撃に出たいが、この▲8七桂が受けながら反撃する味良い一着。これでも△7六銀など突っ込んで来る手は気になるが、▲同金と金で取り、△同桂▲同銀で▲8七の桂は守られている。

本譜は、△6四銀上と辛抱したが、銀を取って▲7四銀打が厳しく先手勝勢。但しこの「勝勢」もAIの評価値によるもので、感想戦では際どい終盤戦の変化が検討された。実戦は、玉を安全にしつつ鋭く後手玉に迫り、先手佐藤九段の勝利となった。
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