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NHK杯に見る受けの手筋
(2008年2月4日出題)

第135問(2008年2月3日:羽生二冠-長沼七段戦)
(問135-1)
後手長沼七段のゴキゲン中飛車に対し、角を交換し、玉頭位取りで盛り上げた羽生二冠。対して良くある手筋の△2五桂から△1四角を放って、右辺を攻め込んだ長沼七段。今、△4七角成と成り込み、3七の銀取りが受けづらいだけにうまくやったかと思われたこの局面。3七の銀取りを受けるのにはこれしかなく、次の一手を当てるのは容易だが、全局を見る羽生二冠の大局観に感心した。


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問135-2)
後手の玉頭に攻めかかり、決まったかと思われた局面から、しぶとい粘りで容易に土俵を割らない受けを連発。今、▲9四歩と急所に打たれた所だが、ここではどのように指したら良いか。手筋と言うよりは、終盤は正確な読みの問題になる。ギリギリで踏ん張った長沼七段の次の一手は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問135-1解答)「別方面で得をする大局観」
△4六馬と引かせずに3七銀を守るには▲3八歩と打つしかないが、△3六歩で受けになっていない。と言うわけで、事実上受けはなく、▲4八銀はこの一手。△4六馬▲2九飛△4五馬と桂を取り、後手は駒損なく(むしろ二歩得で)馬を作ることに成功し、普通なら優勢のはずだ。しかし、6筋以降の玉頭では先手陣の方が圧倒している。そこで、▲8五歩△同歩▲8四歩と桂歩を手持ちに玉頭に攻めかかるのが読み筋。右辺で馬を作られても、別の場所で優位を築けば十分という全局的な大局観だった。


(問135-2解答)「守り駒を残す受け方」
9四の歩は払う一手だが、△同金と払うのは、解説で並べられていたように、▲8二歩成△同銀▲同銀成△同玉▲8三銀△9三玉▲9四銀成△同玉と守り駒を全て消されて、▲7六金と上から押さえ込まれる位でも受けがなくなってしまう。そこで、と金は作られるが、△同銀と取った手が、読みの入った一手。▲8二歩成に△9三玉と頑張ろうと言うもの。
本譜はどこかで決め手があったのかどうか詳しく検討してみないと分からないが、羽生二冠をもってしても、長沼七段のしぶとい受けに、攻め切ることが出来なかった。


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