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NHK杯に見る受けの手筋
(2008年9月29日出題)

第166問(2008年9月28日:行方八段-田村六段戦)
(問166-1)
先手行方八段の▲2六歩から▲7六歩に対し後手の田村六段が△3三角と上がったため角換わりの将棋になった。その後、慎重な駒組が続いたが、△6四角を据えた後手が△4五歩と仕掛けて戦いが始まった。
下図はその終盤で、すでに先手が優勢。▲4二とと銀を取って王手をしたところだが、ここでは何で取り返すのが正しいか。盤面全体を見て次の一手を決める。


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問166-2)
先手が優勢から勝勢となり、後はうまく勝ちを決める場面。△6九銀は時間をかけて読めば詰めろでないことは分かってもかなり先手玉も危険な状態。このような局面で勝ちを決める一手とは?行方八段の指した一手は何か?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問166-1解答)「要の馬を取られないように」
▲4二とに対し△同金直は▲5一飛、△同金左は▲3九飛とどちらも王手馬取りに打たれて馬が取られてしまう。そこで、ここではかなり危ないことになるが、△同玉と玉で取って最後の勝負をかけることになる。
このように王手飛車取りとか角取りとか打たれる場面でも、必ずしもその飛車や角が要の駒でないことも多い。そのような時は玉を危険にさらすことなく金で取った方が良い。また、もし角を持っていれば、△同金左と取り、▲3九飛には△3七角と打って王手角取りが受かることもある。
終盤は常に読みの勝負なので、こうした変化を丹念に読んで応手を決める。



(問166-2解答)「保険をかける詰めろ」
ここで行方八段は▲4四角と打って勝ちを決めた。
この局面は、先手玉が詰めろではない。但し、△7八銀成▲同玉△6九銀▲8八玉△7九角▲9八玉とかなり危ない。この(図の)局面は先手玉が詰めろであれば、単に詰めろをかけてしまうと負けてしまい、「詰めろ逃れの詰めろ」などをかける必要があるが、詰めろでないと思っても危険な状態であることは多いし、読み違いで詰めろになっている可能性もある。そこで、そういう場合は、自陣に利かせつつ詰めろをかけるのがいわゆる「保険をかけた」手。ここではたとえば、▲4七飛と打って、もし詰めに行って詰まない場合に▲5七飛と桂を取るような手も「保険をかけた」と言われる。
実戦は、この後手玉も詰むかどうかギリギリであったため、△8五桂と今度は本当の詰めろをかけたが、▲5三角成△3三玉に▲3七飛のような「保険をかけず」、▲3四飛から華麗に後手玉を詰ませた。


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