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NHK杯に見る受けの手筋
(2008年10月6日出題)

第167問(2008年10月05日:阿部八段-久保八段戦)
(問167-1)
先手阿部八段の3手目▲6八玉の挑発に一回は△8四歩を突いた後手の久保八段だったが、先手の駒組みに応じて四間飛車に振った。
その後角を交換し、先手は馬を、後手はその角を犠牲に先手玉に攻めかかった。今、▲5五馬と引いた手に対し、△6七銀とからみついたところ。このような局面では、どのように受けるのが良いか。先手阿部八段の指した一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問167-2)
後手の攻めも細く、その攻めが届く前に9筋のと金を間に合わすことが出来るかという局面になったが、馬を取られ、駒割りは、金香で後手の駒得となった。ここで後手久保八段の指した一手は何か?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問167-1解答)「香を下段から打つ受け」
ここで阿部八段は▲5九香と成桂に働きかけて下段に香を打った。この手は△5六成桂などの手を消しながらの成桂取りで、△4七成桂と先手で寄られてしまうが、玉から遠ざかったことに満足して飛車を逃げておくのが読み筋。本譜は、△4七成桂▲1八飛△7六銀成と攻めを緩和し、▲9六歩!とこの端攻めを間に合わせる攻めに命運を託した。



(問167-2解答)「駒得に満足して局面を収める」
ここで久保八段は△9二歩と歩成りを受けた。
と金を作らせない為の歩受けというのは基本中の基本ではあるが、平手の実戦では9筋のと金は遅いことが多く、このと金が働き出す前に攻めきるという考え方の方が普通だ。
しかし、この局面では、すでに金香交換の駒得を果たし、9筋のと金さえ受けておけば先手からの有効な手がないと判断した。
実際、この後、▲9三歩成△同歩▲同香成と攻めるくらいしかなく、そうであれば、9三にいるのはと金より成香の方が後手にとっては格段に良い条件となる(取った時に香になること、9九の香が受けとして利かなくなることなどが理由)。

実戦はこの後、成香と角、さらに▲7四歩と垂らして攻めることになったが、それより早く△7五歩から△7六銀〜△7六歩が入り、しっかり先手玉を上部から押さえ、寄せ切ることに成功した。


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