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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年8月24日出題)

第212問(2009年8月23日三浦八段-田村六段戦)
(問212-1)
先手の三浦八段は、三手目▲7八飛から石田流穴熊とし、それに対し後手の田村六段は、居飛車銀冠に組んだ。そして、中盤、後手の田村六段が穴熊の端に狙いを定めちょっと単調すぎるとも思えるような攻めに出た。
しかしこの攻めがなかなかうるさく、下図は△1五香と打って次に▲1七銀からの3手詰を見て端を勢力圏に置いたところ。ここで指された先手三浦八段の一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問212-2)
端からの攻めと、飛車取りをからめ、後手の攻め先手の受けが延々と続いている。今△1七香成と一旦1五の香を成ったところ。
ここで、先手三浦八段は間髪を入れず次の一手を指した。プロならひと目のその手とは?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問212-1解答)「逃げ道を開ける受け」
△1七銀を受けるためだけなら▲1七歩のような手もあるが、△2五桂のように足したり、場合によっては直ちに△1七香成のような手も成立するので、この場合は危険だ。このように相手の駒が小駒ばかりで自分の勢力が足りない場合は、その地点から逃げるのが得策。
という訳でここでは▲4八金寄が普通。但し、この手には△8六歩と今度はこちらから迫るのが好手。▲同歩には△8七銀があり、飛車交換になると△1八飛がうるさい。そこで△8六歩に▲9六桂という筋悪な手をひねり出したが、この後も延々難解な攻防が続いた。



(問212-2解答)「成駒の位置を変える歩」
ここで三浦八段はノータイムで▲1八歩と打った。まさに手筋の見本とも言える手で、実戦は△1六成香と下がったが、この一本が入ったのは大きかった。
▲1八歩に対し、△同成香と取るのでは、香の働きが全然違ってくるし、何より△1八飛という手もなくなってしまう。このような成駒の位置を変える歩が打てる場面というのは、良く実戦でも出現するが、実際にその場面で打って効果を得られるようになれば高段者と言えよう。

本譜はとにかく後手の攻め、先手の受けが続いた為、先手に様々な参考になる受けが出現したが、最後は自陣を安全にした先手が後手玉を寄せ切ることに成功した。


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