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NHK杯に見る受けの手筋
(2009年8月31日出題)

第213問(2009年8月30日佐藤(天)五段-久保棋王戦)
(問213-1)
先手の佐藤五段が三手目▲6八玉とゴキゲン中飛車を警戒すると、後手の久保棋王は端を詰めて三間に飛車を振った。その後、藤井システム風の構えから左美濃の玉頭に襲いかかり戦いが始まった。しかし、先手玉も中空で巧みに凌ぎ、今▲8四歩と玉頭の強化を兼ね歩を垂らしたところ。ここで指された久保棋王の一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問213-2)
端(9三)にと金を作り、後手の攻め先手の受けが続いている。今△1九とと香を拾ったところ。この手は当然次の△8五香を見た手であるが、この手を受けるべきかどうか。受けるとしたらどのように受けるのが良いか。先手佐藤五段の指した一手は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問213-1解答)「級位者の基本-歩には歩で受ける」
ここで久保棋王は△8二歩と受けた。このように歩の垂らしに歩で受ける手と言うのは受けの基本であり、初心者の人にはまず覚えてもらいたい受けだ。しかし、初段を目指す人が、すぐに歩を打ってしまうようではダメ。ここが将棋の難しい所で、このように歩を受けてしまうと、将来たとえば△7三桂から▲8六玉に△8五歩と攻めるような手、あるいは△8七歩と叩くような攻めが生じるかもしれないのにそうした手段をなくしてしまうことになる。歩を受けるとしっかりとするけれども相手への攻めがなくなってしまうと言うことを常に念頭に置くようにしなければならない。



(問213-2解答)「駒を犠牲に手を稼ぐ-敵の打ちたいところに打て」

ここで佐藤五段の指した一手は▲8五桂。この手は△8五香を防ぎ、△同桂には▲同玉と取るのではなくそのままで手を稼いぐという高等手筋。
8五の地点を受けるだけなら単に▲7七桂としても受けることは出来るが、後手玉への攻めがない。▲8五桂は本譜もそうなったが、▲7三桂成からの殺到も見ている。

実戦は先手玉が寄るか、後手玉が寄るかギリギリの面白い終盤戦になり、最後はかの有名なエレベータ詰を彷彿とさせる手順で先手玉が詰んで終局となった。
そのエレベータ詰は右図、17手詰。
本日の最終盤の詰みは「今週の実戦の詰み」に採用予定ですのでそちらを見て下さい。


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