将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2011年5月16日出題)

第299問(2011年5月15日 中田(宏)八段-村中六段戦)
(問299-1)
先手中田八段、後手村中六段で戦型は相矢倉。お互いの陣形が組み上がった後、先手の中田八段が、意表の仕掛けで戦いが始まった。下図は、△6四角と飛車取りに打ちながら、好所に角を据えたところ。当然飛車取りは受ける一手だが、どのように受けるのが良いか?先手中田八段の指した三手一組の手順は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問299-2)
途中、難しい局面はあったが、先手の攻めを凌ぎ後手が反撃、その攻撃が急所を突き、後手優勢となった。今、先手が▲4五桂と最後の王手をしたところ。玉の逃げ場所は三ヶ所。どこへ逃げるのが最も安全か?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問299-1解答)「角の位置を変える歩の突き捨て」
ここで中田八段の指した手は▲5五歩△同角に▲3七桂打。▲5五歩は△同角とさせることで、6四という最も良い位置から移動させることが一つの狙いだが、▲4八飛から飛車をさばく手段もあり先手に取っては損のない手だ。もっとも、5五の位置も通常は好位置になるので、実戦ではその時々で読みを入れなければならない。


(問299-2解答)「桂頭の玉寄せにくし」
逃げ場所は三ヶ所だが、2二は最初から考えなくて良い。玉は上部へ出た方が捕まりにくく、2四は一応考えられる。ただ、いつでも▲2五歩と叩かれる手があり、特に4七の金が上部を押さえているこの局面では、かなり危険な所でもある。△4四玉はその局面だけを見れば狭いが、「桂頭の玉寄せにくし」という格言もあるように、実際桂の頭に上がった玉は、持ち駒に桂がないと寄せにくい場合が多い。もっとも、局面に寄っては(7三の角などがいない場合)、▲4六金が次の▲3六桂を狙ったり、3五の地点がふさがっていると▲5五銀(金打)△同歩▲同金などの詰み筋が生じることもある。

本譜は後手玉が寄らず、先手玉は受けが利かない形で、この後数手で先手の投了となった。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ