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NHK杯に見る受けの手筋

(2013年12月16日出題)

第428問(2013年12月15日 郷田九段-高橋九段戦)
(問428-1)
先手郷田九段、後手高橋九段で戦型は相居飛車角換わり戦。先手の棒銀に後手が反撃して戦いが始まり、中盤、先手の郷田九段が飛車を見捨てて攻め込む強襲をかけた。この攻めは成立しているかどうか難しい戦いだったが、今、下図△6一玉の早逃げに▲4一銀とかけたところまで進んでいる。
ここで指された後手高橋九段の次の一手は?ある意味当然の一着であると同時に場合の手でもある。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問428-2)
上図から数手後、後手は△2七に飛車を打って反撃を開始した。今、▲5一歩成の王手をかけて△7二玉と追った所だが、このまま攻めを続けて良いものかどうか。ここまで来ると、常に自玉の詰み、詰めろ、相手の詰み、詰めろを読む戦いになる。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問428-1解答)「金をかわす場所」
金取りに銀をかけられることは良くあるが、どのような場合でも、逃げられるなら逃げた方が良いことが多い。ここでも次に▲5二銀成と取られるよりはかわすのが第一感だ。しかし、普通に△6二金は▲4二とと寄られてしまうし、△5一金は6三に放り込まれてしまう。そこで実戦は△6三金。「金は斜めに誘え」の格言があるように、本来金が斜めに上がるのは筋が悪い。たとえば桂を持たれていると▲5五桂を打たれるし、もう一枚銀があれば▲5二銀打から寄ってしまうかもしれない。
それでもこの場合は、斜めに上がった金が好手となった。まさに「場合の手」で、ここから先は少し後手に形勢が傾き、感想戦では、▲4一銀の代わりに▲4一角と打っておけば先手有望との話で進んだ。

(問428-2解答)「飛車の進入を許さない一段金」
攻めるなら▲5二銀不成が第一感で、△2九飛成▲6一角と打って、△4九龍の詰めろが来る前に寄せ切ってしまえるかどうか。しかしその順が見つからず、もしくは寄せがないなら受けるしかない。その受けとは▲3九金。玉から離れるが、このような飛車に対する一段金は非常に良く出現する。△3八歩と打たれると、この金取りは手抜くしかないが、取らせている間に後手玉を寄せ切ろうという考え方。簡単に言えば、△2九飛成△4九龍なら二手で詰めろ(次に△7九金からの詰み)になるが、△3八歩△3九歩成△2九飛成△3八となら詰めろになるのに四手かかるという訳。

本譜は▲4一角を逃して後手が余したかに見えたが、後手の三段目まで出た玉の当たりがかえって強くなり、最後は先手が後手の中段玉を寄せ切ることに成功した。
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