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NHK杯に見る受けの手筋

(2013年12月23日出題)

第429問(2013年12月22日 羽生三冠-大石六段戦)
(問429-1)
先手羽生三冠、後手大石六段で戦型はダイレクト向かい飛車。これに先手が▲6五角と打ったので乱戦になるかと思いきや、角換わり相居飛車、矢倉風のじっくりした将棋になった。
下図は、先手が▲6一角から▲7二歩と攻めたのに対し、後手が歩成りを直接受けるのではなく、△6九角と反撃しつつ受けの手(金を取って△5一金)を見せたところ。ただ、その手は分かっていても現在は銀取り。これに受ける手段はあまりないかと思えたが・・・。ここで指された先手羽生三冠の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問429-2)
後手がうまく反撃し、優勢になった局面から先手も離されずついていき、今▲8一角成と桂を取りながら飛車取りに成ったところ。ここで指された後手大石六段の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問429-1解答)「逆方向にかわす銀」
持ち駒がないので、4七の銀取りは、▲5八銀と引く一手かと思っていた(▲4八飛には△3六歩がある)。ところが、羽生三冠の指した一手は玉と離れる▲3八銀。これは、後の△3六歩に▲4五桂と跳ね、△3七歩成とと金を作らせないということで意味はやさしいが、実戦ではなかなか思いつかないし指せない一着だ。と言うのも、中終盤では、金駒は玉の近くに動いた方が守りに使えるし、それが相手の駒に当たるなら、なおさら引きつけたいからである。▲3八銀はそうした基本を知り尽くした上での柔軟な発想であり、例外の一着ということでもある。

(問429-2解答)「陣形の強化-縦に並ぶ金」
飛車は逃げられるが、タダではないし、特に馬との交換なので、取ってもらえるなら喜んで交換したいところ。ということで、逃げる手は読まない。攻めるなら△4六香や△4六桂などだが、すぐに跳ねると▲3四桂が来る。そこで、その筋を前もって受けておいたのが、ここでの一着△3三金右。これが攻める前に陣形を強化した好手だった。特に、矢倉で良く出る縦に並ぶ金二枚は非常に強固。最後に詰めろや「詰むや詰まざるや」の時にも、一手余せることが多いので覚えておきたい。

本譜は先手羽生三冠のしぶとい粘りに大石六段が冷静に対処、中盤で得た有利さを最後まで逆転されることなく寄せ切り、殊勲の星を上げた。
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