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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年3月14日出題)

第540問(2016年3月13日 久保九段-千田五段戦)
(問540-1)
先手久保九段、後手千田五段で戦型は四間飛車(藤井システム)対銀冠からの居飛車穴熊。先手は美濃に入り、中飛車に振り直してから仕掛けた。対して、後手が角を見捨てて(角銀交換)先手の歩切れを主張した方法が好手順の受け方で、さらに先手玉への攻めも厳しく優勢となった。下図はその終盤。少し前、△1七歩と叩いておく手があり(感想戦では)その方が良かったとのことで、先手も▲1七香とここに香を据え、さらに▲1六香打の三段ロケットを見据え少し楽しみも出てきた。今△4七桂成と成ってきた所で、もちろん次に△3七金と打たれてはダメだが、ここで先手の受け方は何か?さらに3七の地点を受けた後、△4六成銀と数を足す手が見えているのでその後もどう凌ぐのか考える必要がある。先手久保九段の指した次の三手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問540-2)
上図から数手、先手としては最後の勝負である▲1六香打と三段ロケットを設置したところ。次に▲1四香と走れれば面白いが、ここは後手の手番。後手としてはどのように受けたら良いか。こういう局面では、ほぼ必然の一手と言える。後手千田五段の指した手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問540-1解答)「攻め駒を残す受け」
先手からの攻めは▲1六香打。なので香を温存する▲2九桂はひと目でありこう受けるところ。対して△4六成銀と数を足してきた時にどうするか。香は温存したいものの▲3八金とかではその金を取られてあまり受けになっていない。久保九段はそこで▲5九角と引いて、角で受けた。これは「なるほど」の一着で、この角は△4四歩をこじ開ける手がない以上現時点では完全な遊び駒。このように受けに使うことで、▲1六香打からの攻め味を残して相手の攻めを待つことが出来る訳だ。

但しそれでも後手の有利はまだ変わっていない。△3五歩と筋の攻めに▲1六香打と待望の香を据えて第2問へと続いている。

(問540-2解答)「玉の早逃げ八手の得」
何度も問題に使っている「玉の早逃げ」がここでも正解であり絶対の一着。特にこの局面の後手は、4、5筋にも金銀がいる為、仮に1筋を食い破られても玉はかなり安全で、勝利を確定させる早逃げと言えそうだ。

本譜は▲1四香に一回△1六歩を叩き、△3六成銀と攻めた。そして先手玉の上部を押さえると▲1八の飛車を取り、先手玉に必死をかけて後手の千田五段が決勝戦に進出した。

なお、最終盤の局面を若干修正、先手玉を詰むようにしてみたので「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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