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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年6月5日出題)

第601問(2017年6月4日 森下九段-豊島八段戦)
(問601-1)
先手森下九段、後手豊島八段で戦形は相矢倉戦。序盤、簡単に一手得させない駆け引きから双方角がにらみ合う駒組みが続いた。そして、後手が技をかけにいくと、それに乗じて先手も切り返し難解な中盤戦に入った。下図は今△7五歩▲同歩△8六歩▲同歩と歩を突き捨てたところ。この手の流れからどんどん攻めるのかとも思えるが、攻める前に一手自陣に手を入れたのが本譜。攻める前の一着と言えば難しくはなく、実戦でこのタイミングで指すのはいかにもプロと言った感じの手だ。後手豊島八段の指した次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問601-2)
難解な中盤から終盤に入っても後手の攻めがつながるのかどうかギリギリの戦いが続いた。今、△6六角成と王手銀取りに角を成ったところ。ここではどのように受けるべきか。有段者なら当然の一手であり、級位者にもここはこう指して欲しいという一着。先手森下九段の指した一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問601-1解答)「大駒を切る準備」
ここでじっと△2二玉と入城したのがいかにもな一着。これから攻めるに当たって、その攻めは薄いので、どうしても大駒を切ることになりやすい。その時、△3一に玉がいると、王手で飛車を打たれるし、たとえば、△8六に押さえの駒(銀)を打って寄せようと思った時に、▲8一飛など王手銀取りに打たれる可能性もある。こうした筋を未然に防いでおいたのが△2二玉だ。これで思う存分攻めに専念できるという訳。

本譜は実際後手の猛攻が始まった。ただ、形勢は依然不明で難しい戦いが続いて第2問の局面となった。

(問601-2解答)「駒を投入してしっかり受ける」
問題図は、▲7七金打と持ち駒を投入する一手、と思って欲しい。玉を逃げると5六か7六、好きな方を取られてしまうし、▲7七金と上がるのは薄すぎてすぐに寄せられてしまう(具体的には△8五桂の時、馬を取れない)。

本譜は△5六馬に▲7三桂成と成り、まだ大変かと思われたが、少しずつ後手の攻めが急所に入り、最後は先手玉を即詰み、後手豊島八段の勝利となった。
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