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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年6月12日出題)

第602問(2017年6月11日 谷川九段-阿部健治郎七段戦)
(問602-1)
先手谷川九段、後手阿部七段で戦形は相居飛車戦。序盤から後手が工夫し、右銀を早めに繰り出す手将棋模様の将棋となった。その後手が早い段階で仕掛けたが、先手も角を自陣に打ってけん制、難しい中盤の戦いに入った。そして下図、後手は角を切り、今△7七銀と打ち込んだところ。ここではどのように応接するのが良いか?このような局面での受け方はいくつかある。そして強くなるほど、いろいろな受け方を知っていると言える。先手谷川九段の指した次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問602-2)
先手玉は追われながら、さらに早逃げで▲4七玉と小康を得た。そして▲2四桂と待望の反撃。対して後手から見ると、△3六歩や△2六香の攻めも厳しそうだが、▲3二桂成と金を取られたり△6四の銀も当たっている。ここは攻めるのか受けるのか、そして何をどう受けるか難しい局面。
そこで、ここで指された後手阿部七段の指し手は?実戦はここで受けの手を指されたが、それはある意味驚愕の一着だった。その一手とは?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問602-1解答)「金は引く手に好手あり」
このように駒を打ち込まれた時に対する応手はいろいろとある。たとえば駒の動かし方を覚えたばかりだと▲3七同桂△同歩成▲同金△同飛成と進み、後手成功。少し手筋を覚えてくると、▲3七同桂△同歩成に▲8六銀△7二飛▲7七銀で先手の受け止め成功。などと進んだりするが、回りの状況によってそうした筋が成立したりしなかったりする。そしてここで指された▲7九金も級のうちに覚えておきたい手筋の一着で「金は引く手に好手あり」だ。これで後手の飛車先が重くなり、すぐには攻められない。

ただ、後手ももちろん金を引かれるのは読みのうち。△8八歩と最後の一歩を打って難解な終盤戦に突入した。

(問602-2解答)「駒を取らせる間に遠ざかる」
▲2四桂に対し、△4二金と寄るのがもっとも自然だ。実際、そう寄っても難しい戦いは続いていくような気はするが、なんとここで阿部七段は△2三金と上がった。この手は▲3二角と打たれるとすぐにその金を取られてしまうので、普通は考えられない。しかし、金を取らせている間にその危険地帯から遠ざかろうとする手で、これも一つの考え方。あまり出ることはないので、応用の利く手筋とは言えないが、頭に入れておきたい考え方だ。

本譜は少しだけ先手の攻めの方が早そうに見えたが、後手も頑強に粘り最終盤は混沌、最後は先手玉をきれいに即詰みに討ち取り、後手阿部七段の勝利となった。

なお最終盤から、もし先手の手番ならと言うことで後手の玉が詰むように作成、「今日の実戦の詰み」として載せたのでそちらもどうぞ。
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