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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年10月16日出題)

第620問(2017年10月15日 橋本八段-菅井王位戦)
(問620-1)
先手橋本八段、後手菅井王位で戦型は角換わり腰掛け銀。先手の▲4五歩の仕掛けに、後手も△7五歩から△6五桂と反撃し戦いが始まった。そして▲7三角と後手の飛車当たりに角を打つと、後手の攻め先手の受けという構図になった。下図はその中盤、今△6四桂と両銀取りをかけたところ。これにどうするか?いろいろ考えられそうな所だが、有段者の第一感はこれという手がある。先手橋本八段の指した次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問620-2)
後手の攻めの間隙を縫って先手も反撃を開始した。▲2三歩△同金と陣形を乱し、さらに4筋を叩いて今▲5五桂と銀取りに打ち下ろしたところ。もちろんこのまま▲4三桂成を喰らってはいけない。そこでどうするか?考えられる応手はそれほど多くないが、ここで指された後手菅井王位の次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問620-1解答)「玉は上部に出で凌ぐ」
「玉は下段へ落とせ」という格言があるように、下段にいるほど捕まりやすい。なので、ここでの第一感は▲7八玉。これで△7六桂▲同金の後の△8七あたりに駒を置かれる手を防いでいる。ただ、玉が上部に出ると捕まえにくいと言うのもその時の駒の配置による。上に相手の駒が多数いる場合は、穴熊など遠く低い位置にいて、攻めが来る前に攻め切るということも良くある。

本譜は、簡単に攻めきれないと見た後手が、△4六歩と手を渡し、今度は先手が▲2四歩から攻める事になった。そして互角で難解な中盤から終盤戦へと入った。


(問620-2解答)「相手の攻めを考えた受け」
▲5五桂に対し、△5四角とつなげる手、△5四銀と上に逃げる手、△3二銀と下にかわす手などどれも考えられる。こうした場合、相手の次の攻め筋、盤面全体を見て判断することになる。ここでは攻めが薄いので、攻防に角を打つのかとも思っていたが、実戦は△3二銀と下に引いて、自陣を固くする方を選んだ。つまり、▲4三歩には△4一金と引いてしっかりしているという訳だ。

本譜はこの後も難しい攻防が続いたが、菅井王位の寄せが見事だった。通常とは逆側から角を打ち、王手金取りではなく、狭い玉に落としての金取りが受けづらく後手優勢に。そして先手の最後の猛攻を切り返し、後手菅井王位の勝利となった。

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