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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年10月23日出題)

第621問(2017年10月22日 佐藤康光NHK杯選手権者-飯島七段戦)
(問621-1)
先手佐藤NHK杯選手権者、後手飯島七段で戦型は先手の向かい飛車に後手の居飛車穴熊。但し、初手▲7六歩△3四歩に▲5六歩と突き、馬を作らせる先手の注文。その後、先手は▲6六銀〜▲7五銀から▲8四歩と逆棒銀。対して馬を軸に反撃を開始し、後手の指しやすい局面へと進み中盤戦が続いている。下図はその途中。今、△8六歩と垂らしたところ。この歩は、▲8二歩を受けながら、△8七歩成▲同金△6七馬も見た手で味が良い。ここで先手はどうするか?最善が何かは難しいが、佐藤NHK杯は、怪しい一着を放ち局面の複雑化を図った。先手の指した次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問621-2)
先手の懸命の粘りに、後手も差を詰められないように必死で手をつないでいる。そしてそのまま、つまり後手有利のまま終盤戦へ入った。下図は▲6九角と7八の地点を受けた手に対し、一旦△6四歩と桂を支えたところ。次に△6八銀や△5七銀があり、後手の攻めを凌ぎきるのは大変に見える。ここで指された先手佐藤NHK杯の指した次の三手は何か?もうしばらく辛抱の手が続き、そして反撃へと移る。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問621-1解答)「相手の応手を広くする攻防の角」
▲6五角と打って馬を消せるなら良いが、△7五馬でかえって打った角が負担になりそうだ。また、▲5八金と上がっておけばとりあえずの△8七歩成からの攻めは受かる。しかし正直すぎる受けで、△4六歩や△8二銀など後手は手に困らない。そこで実戦は、▲9六角。直接には△8七歩成を受けつつ▲6三角成を見た攻防手。また、△5二や△6二へ金銀を上がって受けるのは、▲8二歩が打てるという訳。

この手が局面的に最善かどうかは分からないが、このように形勢が悪い時は、相手の選択肢を増やし局面を複雑にすると言うことは、一つのテクニックだ。逆に形勢が良いときは、できるだけ局面を単純にしリードを保っていきたい。もっとも本譜は、この後も後手の攻めが巧みで、先手は苦心の受けが続いた。


(問621-2解答)「数で受けて辛抱」
一旦は▲8八金▲8九飛という形まで押し込められた先手だが、その金も▲6六金と前戦に復帰、少し押し戻した感のある第2問。ここで、▲5九金と△6八銀を受け、△5七銀には▲6八銀と受けて相手の攻めを押し戻そうとした。特にこの▲6八銀はごつい受けで、相手に少しの駒でもあれば、あるいは歩が利くくらいでも攻めつぶされそうな受けと言える。しかしここではこれが最強の頑張りで、このしぶとい受けが功を奏し、この後先手に攻めの手番が回ってきた。

本譜はそれでもまだ後手が残していたように思える。しかし、最終盤、後手に受け間違いと思われる手が出て、最後は、後手玉の必死に先手玉は詰まず、先手佐藤NHK杯選手権者の勝利となった。

その最後の局面。後手の持ち駒を増やし、詰むように若干局面を変えて作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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